2020年代は日本株が復権 5Gがけん引(藤田勉)一橋大学大学院特任教授

そして(1)高速・大容量(2)低遅延(3)多数同時接続という特徴を持つ5Gは、通信企業にとってさらに飛躍するチャンスとなろう。日本の時価総額上位10銘柄のうちNTT、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクグループ、ソフトバンクと5社が広義の通信株であり、これが日本株の復権が期待できると考える根拠の一つである。

幅広い業種に波及、半導体の恩恵大きく

5Gは通信企業だけでなく、幅広い業種で進化を促すだろう。例えば5Gは自動運転に不可欠な技術であり、世界の自動車業界を根本的に変化させよう。自動運転では遠隔操作で運転車両を制御する必要があり、通信の遅延(タイムラグ)は事故につながりかねない。また車両や交通インフラなどに多数のセンサーを取り付け、安全を確保しなければならないため、多くの機器が同時にネット上でデータをやり取りする仕組みが重要である。

IT業界でも例えばクラウドサービスの品質が一段と向上する。クラウドサービスは利用者とサーバーを通信回線でつないで、ITサービスやインフラを提供するものである。定期的に顧客に課金するため、景気変動の影響が少なく、安定成長することが期待できる。クラウドサービスで世界をリードする企業は米アマゾン・ドット・コムと米マイクロソフトである。

こうした進化の恩恵を特に受けるとみられるのが半導体である。車載向け、スマホ向けの需要が増加している画像処理用半導体「CMOSイメージセンサー」は一段と市場拡大が見込まれ、世界シェア首位はソニーである(18年で約5割)。またクラウドサービスにはデータの蓄積が不可欠でありデータセンター、サーバーの能力拡充が欠かせない。そのためには記憶用の半導体であるメモリーの増産が必要となる。必然的に半導体関連のニーズも高まり、世界有数の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロン、半導体材料のシリコンウエハーで世界首位の信越化学工業にフォローの風が吹くだろう。

デバイス分野でもキーエンス、日本電産、村田製作所など5Gの恩恵を受ける企業が多く、5Gは日本の得意な電機業界を中心とするものづくりの復活にも貢献できるのである。

20年代の世界の株式市場はアマゾン、マイクロソフト、アルファベット、アップルを中心に米国株が優位であることに変化はないだろう。ただし10年代のように米国株圧勝とはならず、日本株も世界の中で優位に立つことが期待される。その意味では20年代の相場のテーマとして日本企業が強みを持つ5Gが大いに注目されると考えている。

藤田勉
一橋大学大学院経営管理研究科特任教授、シティグループ証券顧問、一橋大学大学院フィンテック研究フォーラム代表。経済産業省企業価値研究会委員、内閣官房経済部市場動向研究会委員、慶応義塾大学講師、シティグループ証券取締役副会長などを歴任。2010年まで日経ヴェリタスアナリストランキング日本株ストラテジスト部門5年連続1位。一橋大学大学院修了、博士(経営法)。1960年生まれ。
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