原始のマグマのように煮えたぎる 熱々、石器ラーメン

「石器ラーメン」の看板メニュー「石器ラーメン」(750円・税込み)にモヤシを「大盛」にしたもの。モヤシの追加は「特盛」(「大盛」の倍)まで無料
「石器ラーメン」の看板メニュー「石器ラーメン」(750円・税込み)にモヤシを「大盛」にしたもの。モヤシの追加は「特盛」(「大盛」の倍)まで無料

グツグツと煮えたぎるスープからのぞくのは、もちもちとした太い麺に分厚いチャーシュー。食べ終わるまでもうもうと湯気が立ち上る、そんなラーメンを体験できるのは「石器ラーメン」。お好み焼きチェーンの展開で知られた道とん堀(東京・福生市)が、2019年8月29日に東京・高田馬場にオープンした店だ。

長い間スープが熱々に保たれる秘密は、その器。韓国料理の石焼きビビンバなどに使われる石鍋を使っているのだ。石で作られた分厚い器は熱が全体に均等にまわり、なかなか冷めない。「石器ラーメン」ではこれを、300度以上にまで熱してから具材を入れ、客の前でスープを注ぎ入れる。350ミリリットルほどのスープは、「一度に注ぎ入れると、ぐらぐらと沸き上がり器からあふれてしまう」(道とん堀経営企画室ブランド・コミュニケーション担当の吉岡亜紀さん)ため、最初に入れるスープは半量。1分半ほどしてから、残りのスープを加減を見ながら客が継ぎ足す。

特製の石の器は温度計できっちり測り、300度以上にまで熱する

使用する器は「石器ラーメン」のため独自に開発したもの。通常は丸みを帯びた器を日本のラーメン丼同様の円すい形とし、平らな底の面積を大きくすることで、スープが器に接する面積が広がるようにした。「この形だと最後までスープを熱々に保てるんです。ラーメン提供時には器に具材と共に、スープと一緒に炊いて味付けしたブタの背脂や、メニューごとに異なる調味料を入れています。これらも熱いスープの対流によって、ちょうどよい具合に混ざり合うんですよ」と吉岡さんは説明する。

星の数ほどラーメン店がある中、「おいしいだけでは当たり前」と、「味覚だけでなく、視覚、臭覚など五感で楽しめるラーメンを作りたい」と考えたのが開発の原点だった。普通のラーメンは、器にスープを注いだ時点から冷め始める。これを、なんとか最後まで熱いまま食べ切れる商品にできないかと頭をひねったところ、思い付いたのが韓国料理で用いる石鍋を器として利用すること。そしてさらに、この器をラーメンのために改良することだった。