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ピーチ・アビエーションの井上慎一CEO

ピーチ・アビエーションの井上慎一CEO

同じANAホールディングス(HD)傘下の格安航空会社(LCC)、バニラ・エアと11月1日に経営統合を完了したピーチ・アビエーション。両社を合わせた2018年度の年間旅客数は約815万人と、日本のLCCではトップで、国内・国際線38路線を結ぶ。社員数も1650人に膨らんだ。井上慎一最高経営責任者(CEO)はアジアのリーディングLCCに向けて、自ら考えて行動する社員の育成に努めるとともに、一人ひとりが安全運航について責任を持つ企業文化を定着させようとしている。

<<(上)「野獣」であれ 必要なのは最後に責任をとる覚悟

――LCC2社の統合へ、リーダーとしてどのような点に腐心しましたか。

「まずは統合目的を両社の社員に理解してもらうことです。スピーディーな展開をしないとLCCは生きていけません。米国ではサウスウエスト航空、欧州ではライアンエアーが、各地域のリーディングLCCになるため何社かを統合して一気に事業規模を拡大し、マーケットを押さえました。私には『日本でもそろそろ同じことをやらないとまずい』という危機感がありました」

「関西以西に強いピーチと、首都圏に強いバニラ。一緒になることで強みを発揮できます。そこをいかに両社の社員に理解してもらうか。ランチ会などを頻繁に開いてコミュニケーションを取り、正しいLCCの姿を理解してもらいました」

チャレンジ精神は同じ

「企業文化の違いはありますが、行ってみてわかったのは根っこは同じだなと。彼らも成田空港を拠点に本格的なLCCをつくろうと集まってきた連中なので、チャレンジ精神などピーチと同じなんですね。10月26日の最終便まで彼らはモチベーションを落とすことなく運航を完全な形で終了しました。よくやり切ったと思います」

――ピーチの文化である「おもろい」も浸透するのでしょうか。

「おもろいは全国、全世界共通だと思っています。カルチャーの統合は始まっていて、だいぶなじんできている。バニラの企業文化はまだ明確に入っていないけれど、お客様の満足度の捉え方など学ぶことがあるので、けっして一方通行でない。これからお互いの強みが組み合わさっていきます。楽しみです」

――ピーチの企業文化はどういうものですか。

「まずはダイバーシティー、多様性の尊重です。他業界からの転職組がほとんどなので、来た人を生かすスタンスでやってきました。現在、24カ国・地域の社員がいて、宗教も様々。お互いをリスペクトしないと成り立たない組織です。ブランド以外では私から『こうしろ』とはあまり言いません」

モチベーションを落とさないように

「彼らはピーチというチャレンジングな会社にチャレンジしようという気持ちで入ってきているので、そのモチベーションを落とさないようにしています。多少の失敗が見えていても、プロだから結果責任は自分で負う気持ちでやりなさいと。人間は信頼するとやってくれます。社員が仕事は大変だけど、働きがいがあり、楽しく、生かされていると思える場にするのが目標です」

――リーダーシップについての原体験は何ですか。

「小学生のころは体が弱くて激しい運動はできませんでした。中学で卓球部に入り、しごきにも耐えているうちに体力がつき、3年生ではキャプテンになりました。すると考え方もポジティブになりました。高校でも熱心に卓球をやっていました」

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