福士蒼汰 涙して読んだマリーゴールド、新境地見せる

日経エンタテインメント!

手を重ねた人の最期の姿が見える特殊能力を持つ、福士蒼汰演じる主人公の救急救命士・花巻みことと、余命1年の義姉・沙羅(菜々緒)との禁断のラブストーリーを描く『4分間のマリーゴールド』(TBS系)。原作マンガを「毎エピソード涙しながら読んだ」という福士は、この作品とどう向き合っているのか。

1993年生まれ、東京都出身。2011年俳優デビュー。文中以外の近作は『旅猫レポート』(主演)など。20年1月に映画『カイジ ファイナルゲーム』の公開が控える(写真:中村嘉昭)

「原作を読んで、心が苦しいけどすごく愛を感じる作品に久々に出合えたことがうれしかったです。もし自分がみことと同じ能力を持っていたら、どう運命に抗うかを考えると思いましたし、好きな人が死んでしまうという状況を目の当たりにしたとき、身を呈してでも助けたいと自分も思うだろうなと。共感することも多かったので、他の誰でもなく自分がみことを演じたいと強く感じました」

恋愛=ヒューマンドラマ

「恋愛ドラマはヒューマンドラマでもあると思うんです。人間と人間の心の交わりがあって、そこに嫉妬や苦しみが生まれるんですが、でもやっぱり最後に救ってくれるのは愛。恋愛作品には普遍性が絶対にあるので、そこは意識しながら、『好き』という気持ちを大事に演じられればと考えています。

義理の姉とのラブストーリーなので、確かに禁断とも言えるんですが、これだけ素敵な人が近くにいて好きにならないはずがないって理解できる部分もあるんです。しかも、血もつながってないですし。演じる菜々緒さんも、天真爛漫で太陽みたいな沙羅にぴったりだなと思うので撮影が楽しみです」

恋愛ドラマでありながら、一方では救急救命士として命と向き合うみことの姿も胸を打つ本作。福士は、役作りのために救急救命士の訓練にも参加したのだとか。

『4分間のマリーゴールド』 キリエによる小学館新人コミック大賞(青年部門)受賞作が原作の切ないラブストーリー。福士演じるみことの義理の兄弟役には横浜流星と桐谷健太(金曜22時/TBS系)

「救命士って特殊なキャラクターだなと。目の前に死ぬかもしれない人がいて、その人を助ける、命をつなぐ人間なので、生半可な気持ちでやっている人はまずいない。そのなかで、みことは『人の死が見える』という特集能力を持っていて、『生』と『死』というものをものすごく考えさせられましたし、言葉では表しづらい思いが自分にも生まれています。

タイトルの『4分間』は、救命において生死を分けるタイムリミットを意味しています。実際に訓練に参加させていただいて、AED(自動体外式除細動器)など機材の使い方に加え、どんな状況でも心臓マッサージを続けることをはじめ、様々な専門的な動きを学ばせてもらったのは、救命という仕事を知るうえでとても参考になりました。時間との勝負という、救命士のギリギリの戦いと、真剣に救命に取り組む人の姿を、ドラマを通して伝えたいです」

18年はインプットの時間を自分で作った。そこで得たものとは?

「改めてお芝居を勉強したり、いろいろな経験をして感じたことをアウトプットしたのが、6月に公開した『ザ・ファブル』と来年公開の『カイジ ファイナルゲーム』、7月期ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』。この3本を通して何か1つ考えがまとまった気がします。レッスンで得たことだけを出しても役を演じるうえではダメで、自分自身の26年間の人生と役者としての9年間の経験を融合させることが大切だなと。

役者の仕事の魅力でもあると思うんですが、役を素敵に見せられる人って、人間的にも魅力的だと思うんです。自分はまだゼロ地点。でもそこから上がるきっかけはつかんだので、『4分間のマリーゴールド』では役者としての新たな姿を見せたいです」

(ライター 山内涼子)

[日経エンタテインメント! 2019年11月号の記事を再構成]