ここは異星かSFの世界? 地球の奇観のリアル

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/11/20
ナショナルジオグラフィック日本版

エチオピアのダナキル砂漠にあるダロル火山は、まさに人を寄せつけない場所だ。火山が陥没した地形には酸性の温泉や沸き立つ溶岩、塩を含んだ砂があり、有毒の蒸気が立ち上る。それでも、硫黄の水たまりや鉱物の塊には、微生物が繁栄している。科学者たちによれば、この地球の「地獄絵図」のような環境は、火星に見立てるのに最適なのだという(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING PICTURE LIBRARY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

私たち人間にとっては居住不可能な場所でも、地球外生命なら生きる道を見出すかもしれない。火山湖や酸性の水たまり、乾燥した盆地、地下洞窟。どれも生物が暮らすのには適さない場所だ。では、火星や氷の衛星エウロパはどうだろう? いつかきっと、答えがわかる日が来るはずだ。

生命がどのように誕生、進化、繁栄するかを理解し、太陽系のほかの場所で生命を見つけられる確率を高めるため、科学者たちは、地球で最も過酷な環境に存在する生命に目を向けている。地球上で最も暑い場所、暗い場所、乾燥した場所、酸性度が高い場所、塩分が多い場所などを訪れ、そこに何が存在するかを確かめているのだ。

メキシコのナイカ鉱山。地下の洞窟では、長さ9メートル、幅4メートルにもなるセレナイトの巨大な結晶が高温多湿の暗闇の空間を埋めつくす。この「結晶洞窟」が発見されたのは2000年。まもなく過酷な環境で生命を探査する科学者たちに注目された。2017年にはNASAが、結晶の内部に微生物を発見したと発表。5万年前から閉じ込められていたと推測される微生物もいた(PHOTOGRAPH BY CARSTEN PETER, SPELEORESEARCH & FILMS/NAT GEO IMAGE COLLECTION)

ここで紹介するのは、わざわざ宇宙に行かなくても、地球上で異世界を体験できる場所だ。科学者たちは、火星やその先に送り込む探査車をテストする際、北極圏や米国カリフォルニア州の砂漠を目指す。技術者たちは地球外の海を探査するという難題に取り組む際、極地の冷たい水に潜水艇を投入する。地球外生命を探すなかで、地球を異世界に見立てることがあるのだ。

ヨルダンのワディ・ラム。ごつごつした砂岩の崖からなる赤い大地が広がり、地球上で最も地球らしくない場所の一つだ。ワディ・ラムはアラビア語で「月の谷」を意味し、2015年のSF映画「オデッセイ」をはじめ、いくつかのハリウッド大作映画で火星に見立てられている。イスラエルのネゲブなど、近くにあるほかの砂漠は、宇宙機関が火星の訓練演習に使用している(PHOTOGRAPH BY ROBERT HARDING PICTURE LIBRARY, NAT GEO IMAGE COLLECTION)

次ページでも、にわかには同じ地球と思えない、選りすぐりの奇観をご覧いただこう。

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