派手な色彩や幾何学模様 アフリカファッションの魅力

ナイジェリア出身のデザイナー、ケネス・イゼさんの展示会(10月16日、東京都港区)
ナイジェリア出身のデザイナー、ケネス・イゼさんの展示会(10月16日、東京都港区)

アフリカ発のファッションに熱い視線が集まっている。派手な色彩や独特のデザインなどの目新しさに加えて、「現地の雇用創出や女性の自立支援につなげたい」という経営者や職人たちの熱意や使命感も人気を支える大きな魅力だ。8月にアフリカ開発会議(TICAD)が横浜で開催されたこともビジネス面で追い風になっている。

社会貢献へ現地に工房

「今年のノーベル平和賞がエチオピアのアビー・アハメド首相に決まった。世界の関心が集まり、民族衝突や貧困が解消に向かうように願っています」。エチオピア産の羊の革を使ったバッグの製造販売会社を経営する鮫島弘子さんは言葉にこう力を込める。

エチオピア産の羊の革を使ったバッグと鮫島弘子さん(東京都渋谷区)

鮫島さんは昨年9月、自らが手がけるブランド「andu amet(アンドゥアメット)」の初の路面店(約35平方メートル)を東京・神宮前に開いた。店内には赤、青、白、緑などカラフルな色彩のバッグや財布などの革小物、アクセサリー類が並ぶ。売れ筋のバッグは13万2000円、8万3600円、2万6400円など。

「ふわふわと軽く、絹のように滑らかな肌触りが気持ちいい。色合いやデザインもかわいいし、耐久性があるので一生モノとして使用できる」(30歳代女性)と好評だ。エチオピアで立ち上げた自社工房を拠点に十数人の職人を雇い、素材調達から縫製、仕上げまでをすべて現地で手がけ、日本で販売する。素材は食肉の副産物のみを使い、無駄が出ないように端切れまで利用するなど環境面にも配慮している。

鮫島さんがエチオピア産の羊の革に出会ったのは青年海外協力隊で現地に赴任していた2002~04年。高級ブランドにも使われる上質な素材なのに、地元には最終加工技術がないため、十分な利益や雇用をもたらしていなかった。そこで「現地の人たちに縫製など加工技術を習得してもらい、社会貢献につなげたい」と起業を決意したという。

商品の質の高さに加え、こうした鮫島さんの熱い思いも支持が集まる一因。糸井重里氏が経営するほぼ日を通じて羊の革の手帳カバーを販売しているほか、10月には阪急うめだ本店(大阪)で期間限定の催事も実施。知名度が高まりつつある。

アフリカのデザイナーを日本に紹介

アフリカンプリントを使った「RICCI EVERYDAY」の「アケロバッグ4WAY」

カラフルで大胆な幾何学模様が特徴のアフリカンプリントも人気だ。仲本千津さんが母親と手がけるブランド「RICCI EVERYDAY(リッチー・エブリデイ)」はウガンダの自社工房で生産した布バッグや小物類を日本で販売する。5月には東京・代官山に初の直営店(30平方メートル強)が開店した。

売れ筋はトート、ショルダー、クラッチ、ハンドバッグと4通りの使い方ができる「アケロバッグ4WAY」(1万3200円)。「派手な蛍光色や大ぶりの幾何学模様のデザインを見ているだけで元気がもらえる」(20歳代女性)。50種類以上のカラープリントを用意しており、客は好みにあった商品を選べる。

仲本さんがアフリカンプリントに出会ったのは非政府組織(NGO)でウガンダに駐在していた14年。その翌年に起業し、就職口が少ない現地のシングルマザーを雇用しながら縫製技術などの習得を支援し、日本に輸出するビジネスを始めた。色、デザインなどの魅力に加えて、社会貢献につなげたいという仲本さんの志に共鳴する顧客も多い。

一方、アフリカ出身のデザイナーを日本に紹介するプロジェクトも動き出した。東京コレクションは10月16日、ナイジェリアのラゴス・ファッション・ウィークと連携し、ナイジェリア、ケニア、南アフリカのデザイナーらによるファッションショーや展示会を東京で実施した。

「アフリカには国ごとに異なる文化や伝統がある。日本の皆さんに魅力を知ってもらえれば、おしゃれの楽しみ方も大きく広がるはず」。来日したナイジェリア出身のデザイナー、ケネス・イゼさんはこう期待を膨らませている。

(編集委員 小林明)

[日本経済新聞夕刊2019年11月9日付]

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