16連休導入で業績急回復 ジャパネットの働き方改革高田旭人ジャパネットホールディングス社長(上)

ノー残業デーに高田社長が見回ることもあるという

目先の利益よりも社員のハッピー

白河 残業をなくせたとしても、人員を増やせばかえってコスト増になってしまうのでは?

高田 コストや投資に対する私の考えが、一般的な考えとは違うのかもしれません。うちは上場企業でもないので、そこそこ業績が良ければ社長である私に報酬があります。ではあと5億円の利益が上がれば自分が幸せなのかと考えると、そのときにお客さんがハッピーで社員もハッピーでなければ意味がないと感じたのです。オフィスやIT(情報技術)に投資をして、さらに給与のベースアップや退職金アップを実施しながらも、「目先の利益が減る」ということはあまり考えません。皆のモチベーションと生産性が上がれば、いつか数字もついてくるかな、と。実際に、そういう成果が出てきているのが本当にうれしいですね。

白河 目先の利益を捨てる……なかなか言えないことですよね。「残業代はもうもらえないんですか」といった不満は出てきませんでしたか。

高田 トップが分かりやすいメッセージを発信することが重要だと思います。3年ほど前には、グループ内8社(当時)で残業削減時間を比較して、多く減らせた会社ほど厚く手当をプラスする取り組みもしました。一番多くて1人5万円、次が3万円、2万円、1万円というルールでしたが、結構好評でした。

ただ、やはり残業体質を変えるのは一朝一夕にはいきませんね。重要なのは、決めたルールを粘り強く徹底すること。ノー残業デーの日なのに午後7時、午後8時まで会社に残っている社員がポツポツいて、それを上司や人事が黙認するようでは、形骸化してしまいます。

私も時々見回るのですが、残っている社員に「なんで残っているの」と聞くと「仕事がたまっていて、ノー残は無理です」と返ってくる。「じゃあ、無理な理由を教えて」と一つひとつ聞いていくと、途中で「次からもっと頑張ってみます」と自分から言ってきますよ。

そこまで地道にやっていかないと、会社は変わっていかないだろうなと感じます。ルーティンを変えるのは誰だって怖いですからね。過去の自分を否定することにもなるのですから。ある程度強い力が外から加わらなければ、変わらないでしょう。

(以下、来週公開の後編に続きます。後編では従業員の意識改革と現場への権限委譲、商品の絞り込みなどの改革についてもお聞きします)

白河桃子
少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(ライター 宮本恵理子)

注目記事