16連休導入で業績急回復 ジャパネットの働き方改革高田旭人ジャパネットホールディングス社長(上)

不要な資料や机も思い切って処分。総量は全部で約70トンになったという

白河 休めというだけでなく、業務効率化も同時進行で進めていたのですね。

高田 はい。当社の働き方改革は休みの充実に注目されることが多いのですが、それはいろいろな業務効率化をやってきた成果のたまものであって、「地道にムダを省いたことで、しっかり休める組織になった」という順序なんです。

例えば、会議資料の廃止。つい最近も人事部門の業務を全部ホワイトボードに書き出して、一つひとつ「これは価値を生む仕事か?」とチェックしました。担当者本人は「価値があります」と言っても、管理職は「そうでもない」という判断をしたり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの導入で削減できると判断されたり。要は、「本当に注力すべき業務」だけに集中できる環境を生み出せるか。

社長になって初めて実施した施策は、社員のパソコンをデスクトップからノートに切り替えて、Wi-Fiを導入したことでした。さらに、各人が使えるロッカーには「箱1個分の資料しか保管しちゃダメ」というルールを決めたんです。それまではキャビネットに山のようにファイルが積んであり、それらのファイルをまとめる仕事、とじる仕事、探す仕事……と価値のない仕事がたくさん生まれていました。「じゃあ、元凶であるファイルを全部捨てよう!」と決めて、他の不要な資料や机も思い切って処分したのがスタートでした。総量は全部で約70トンにもなりました。

社員のキャビネットまで徹底チェック

白河 すごい量ですね。思い切った決断に社内から反発はありませんでしたか?

高田 反発ではなく、「え、本当に捨てちゃって大丈夫なの?」という戸惑いはあったようですね。でも、もうやると決めたら断行しました。全社員のキャビネットを開けて見て回って「これ何? 必要? 何の資料かも思い出せないなら捨てよう」と選別していきました。結果、3分の1くらいまでカットできてキャビネットがたくさん余りました。すると今度は「空のキャビネットをいつか使うかもしれないから取っておきましょう」と言い出す人が出てくる(笑)。「今使わないものは全部処分しよう」と言いました。

ほかにも、メールのやり取りを効率化するために振り分け機能が充実したソフトウエアに切り替え、会議室にはチャイムを導入しました。会議をムダに長引かせる習慣を断つために、退室予定時刻の10分前・5分前にチャイムが鳴るツールを導入したんです。商談中にも「あと10分なので結論を出しましょう」と話をまとめやすくなるメリットがあります。

白河 働き方改革の第一歩は「時間の有限性」の認識から。まさにそれを社員が気づくきっかけ作りをなさっているのですね。一方で、お客様とダイレクトに接する仕事となると、つい頑張り過ぎる傾向はないのでしょうか。会社の成長期を見てきたベテラン社員には、「休みはいらないから働きたい」というマインドが根強かったとか。

高田 働くモチベーションは人それぞれ違っていいと思います。ただし、「残業代を目当てに長時間労働する」となるのは危険です。健康的に無理なく働ける環境を整えることが第一だと考えており、コールセンターの場合はオフィスを広い場所に移しました。それまで2フロアに分かれた約900坪だったオフィスから、1フロア約1400坪のオフィスへと引っ越し、タニタ食堂を入れて安くてヘルシーな食事の提供を始めました。

さらに託児所も設置したのですが、その託児所も「子どもが喜んで通いたくなる場所」になるようにコンテンツにこだわりました。親である社員が「預ける罪悪感」を抱かず、安心して仕事に取り組めることが生産性向上には大切だと考えたからです。残業をしなくても業務が回るように人員も増やしています。

注目記事
次のページ
目先の利益よりも社員のハッピー