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16連休導入で業績急回復 ジャパネットの働き方改革

高田旭人ジャパネットホールディングス社長(上)

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NIKKEI STYLE

テレビショッピングでおなじみの「ジャパネットたかた」。テレビ画面で印象的だった高田明氏の後を継ぎ、2015年に高田旭人氏がジャパネットホールディングスの社長に就任。働き方の見直しを含む経営改革を実施、一時低迷していた企業業績を伸ばし続けている。高田社長に取り組みについて聞いた。

「昭和のモーレツ」から「楽して成果を上げる」へ

白河桃子さん(以下敬称略) 「ジャパネットたかた」という社名からパッと浮かぶのは、高い声が印象的だったお父様(前社長の高田明氏)です。そのお父様から社長職を継がれて以来、独自の働き方改革を積極的に推進され、増収増益を更新しているとのこと。特に驚いたのは、「16連休」が取得可能な休暇制度の導入です。かなり思い切った施策だと思うのですが、なぜ社員を休ませようと思うに至ったのですか。

高田旭人社長(以下敬称略) 注目いただき、ありがとうございます。スーパーリフレッシュ休暇制度の導入に関しては、「休ませよう」と発想したというより、より健康的で生産性が高い働き方を追求した結果でしかないんです。世の中には働き方改革が「目的化」してしまっている会社が多いように思います。うちはあくまで手段としか考えていません。

私自身が自分の経験を振り返ったときに、例えば受験勉強でもがむしゃらに気合だけで頑張っていた時期を経て、「やり方次第でもっと効率よく勉強できるな」と気づいたことがあったんです。いい意味で「楽して成果を上げる」という発想が、まだまだ日本には足りない気がします。社会に出て仕事をするようになると、さらにムダがあちこちに転がっていることに気づき、疑問を持ったことが出発点です。

白河 お父様は猛烈に働く創業者というイメージがあるので、きっと社内の雰囲気も長時間労働を奨励する雰囲気があったのではないでしょうか。

高田 まさに昭和のムードで一体となって働く雰囲気はありましたね。創業期から成長発展するフェーズではそれが必要かつ正しかったと思いますし、その踏ん張りがなければ今の当社はなかったはずです。一方で、私自身としては「これではちょっともたないな」という感覚がありました。

白河 持続可能じゃないということですよね。16連休の前段階として、まず9連休のリフレッシュ休暇制度やノー残業デーの制度を導入されたそうですね。ただ、御社は熱心な社員の方も多く、「休むなんてとんでもない!」という声もあがったと聞きました。

高田 そうですね。長年の働き方のクセがついていますので、「無理じゃない?」という反応はありました。社長に就任してすぐに「毎週水曜をノー残業デーにします。それから水曜以外も午後10時以降には会社にいてはダメです」と言ったとき、社内がザワッとしたのを覚えています。

その反応に驚いて、理解を得るためのロジックを考えました。年間の労働時間から計算すると、うち4%のムダを削ったら1週間休める。土日をくっつけて9日間。それで9連休のリフレッシュ休暇制度を導入したのですが、また「9連休も」とザワつきました。「4%って1日当たり十数分だよ。パソコンも新しくなったし、整理しないといけない資料も減らしたでしょう。削れるんじゃない?」と問いかけました。

白河 休めというだけでなく、業務効率化も同時進行で進めていたのですね。

高田 はい。当社の働き方改革は休みの充実に注目されることが多いのですが、それはいろいろな業務効率化をやってきた成果のたまものであって、「地道にムダを省いたことで、しっかり休める組織になった」という順序なんです。

例えば、会議資料の廃止。つい最近も人事部門の業務を全部ホワイトボードに書き出して、一つひとつ「これは価値を生む仕事か?」とチェックしました。担当者本人は「価値があります」と言っても、管理職は「そうでもない」という判断をしたり、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールの導入で削減できると判断されたり。要は、「本当に注力すべき業務」だけに集中できる環境を生み出せるか。

社長になって初めて実施した施策は、社員のパソコンをデスクトップからノートに切り替えて、Wi-Fiを導入したことでした。さらに、各人が使えるロッカーには「箱1個分の資料しか保管しちゃダメ」というルールを決めたんです。それまではキャビネットに山のようにファイルが積んであり、それらのファイルをまとめる仕事、とじる仕事、探す仕事……と価値のない仕事がたくさん生まれていました。「じゃあ、元凶であるファイルを全部捨てよう!」と決めて、他の不要な資料や机も思い切って処分したのがスタートでした。総量は全部で約70トンにもなりました。

社員のキャビネットまで徹底チェック

白河 すごい量ですね。思い切った決断に社内から反発はありませんでしたか?

高田 反発ではなく、「え、本当に捨てちゃって大丈夫なの?」という戸惑いはあったようですね。でも、もうやると決めたら断行しました。全社員のキャビネットを開けて見て回って「これ何? 必要? 何の資料かも思い出せないなら捨てよう」と選別していきました。結果、3分の1くらいまでカットできてキャビネットがたくさん余りました。すると今度は「空のキャビネットをいつか使うかもしれないから取っておきましょう」と言い出す人が出てくる(笑)。「今使わないものは全部処分しよう」と言いました。

ほかにも、メールのやり取りを効率化するために振り分け機能が充実したソフトウエアに切り替え、会議室にはチャイムを導入しました。会議をムダに長引かせる習慣を断つために、退室予定時刻の10分前・5分前にチャイムが鳴るツールを導入したんです。商談中にも「あと10分なので結論を出しましょう」と話をまとめやすくなるメリットがあります。

白河 働き方改革の第一歩は「時間の有限性」の認識から。まさにそれを社員が気づくきっかけ作りをなさっているのですね。一方で、お客様とダイレクトに接する仕事となると、つい頑張り過ぎる傾向はないのでしょうか。会社の成長期を見てきたベテラン社員には、「休みはいらないから働きたい」というマインドが根強かったとか。

高田 働くモチベーションは人それぞれ違っていいと思います。ただし、「残業代を目当てに長時間労働する」となるのは危険です。健康的に無理なく働ける環境を整えることが第一だと考えており、コールセンターの場合はオフィスを広い場所に移しました。それまで2フロアに分かれた約900坪だったオフィスから、1フロア約1400坪のオフィスへと引っ越し、タニタ食堂を入れて安くてヘルシーな食事の提供を始めました。

さらに託児所も設置したのですが、その託児所も「子どもが喜んで通いたくなる場所」になるようにコンテンツにこだわりました。親である社員が「預ける罪悪感」を抱かず、安心して仕事に取り組めることが生産性向上には大切だと考えたからです。残業をしなくても業務が回るように人員も増やしています。

目先の利益よりも社員のハッピー

白河 残業をなくせたとしても、人員を増やせばかえってコスト増になってしまうのでは?

高田 コストや投資に対する私の考えが、一般的な考えとは違うのかもしれません。うちは上場企業でもないので、そこそこ業績が良ければ社長である私に報酬があります。ではあと5億円の利益が上がれば自分が幸せなのかと考えると、そのときにお客さんがハッピーで社員もハッピーでなければ意味がないと感じたのです。オフィスやIT(情報技術)に投資をして、さらに給与のベースアップや退職金アップを実施しながらも、「目先の利益が減る」ということはあまり考えません。皆のモチベーションと生産性が上がれば、いつか数字もついてくるかな、と。実際に、そういう成果が出てきているのが本当にうれしいですね。

白河 目先の利益を捨てる……なかなか言えないことですよね。「残業代はもうもらえないんですか」といった不満は出てきませんでしたか。

高田 トップが分かりやすいメッセージを発信することが重要だと思います。3年ほど前には、グループ内8社(当時)で残業削減時間を比較して、多く減らせた会社ほど厚く手当をプラスする取り組みもしました。一番多くて1人5万円、次が3万円、2万円、1万円というルールでしたが、結構好評でした。

ただ、やはり残業体質を変えるのは一朝一夕にはいきませんね。重要なのは、決めたルールを粘り強く徹底すること。ノー残業デーの日なのに午後7時、午後8時まで会社に残っている社員がポツポツいて、それを上司や人事が黙認するようでは、形骸化してしまいます。

私も時々見回るのですが、残っている社員に「なんで残っているの」と聞くと「仕事がたまっていて、ノー残は無理です」と返ってくる。「じゃあ、無理な理由を教えて」と一つひとつ聞いていくと、途中で「次からもっと頑張ってみます」と自分から言ってきますよ。

そこまで地道にやっていかないと、会社は変わっていかないだろうなと感じます。ルーティンを変えるのは誰だって怖いですからね。過去の自分を否定することにもなるのですから。ある程度強い力が外から加わらなければ、変わらないでしょう。

(以下、来週公開の後編に続きます。後編では従業員の意識改革と現場への権限委譲、商品の絞り込みなどの改革についてもお聞きします)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(ライター 宮本恵理子)

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