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「トップに決意と覚悟がないと失敗する」と語る鉢嶺登氏

「トップに決意と覚悟がないと失敗する」と語る鉢嶺登氏

米国の巨大IT企業「GAFA」(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)が圧倒的なパワーを発揮する一方で、日本では大企業の多くが衰退のリスクに直面している。デジタルシフトに対応して会社を成長させるには、どんな人材が必要なのか――。『GAFAに克つデジタルシフト』を書いた鉢嶺登氏に聞いた。

そこにある危機「アマゾン・エフェクト」

「アマゾン・エフェクト(アマゾン効果)」が世界中に広がっている。高度なデジタル技術をベースに次々と斬新なビジネスモデルを打ち出す「巨人企業」の進撃を受けて、既存企業が次々と収益源を奪われているのだ。米国では名門のシアーズ・ホールディングスやカジュアル衣料のフォーエバー21、GAPといった小売企業が相次いで店舗の大規模リストラや経営破綻に追い込まれた。

日本も例外ではない。オプトホールディング代表取締役社長グループCEOとしてデジタルシフト支援を幅広く手がける鉢嶺氏は「GAFAのビジネス拡大によって経営面で影響を受けない業界は、日本でもゼロと言ってよい」と断言する。GAFAの強さの源泉は社会インフラを担っている点だ。グーグルは、BtoC分野で「検索」「Eコマース」「スマホ」「地図情報」など消費者の生活と切り離せないプラットフォームを押さえている。GAFAはクラウドや人工知能(AI)の技術を生かしてBtoBにも急速に進出している。一例がエネルギー産業。「データセンターを使うGAFAは、すでに膨大な電力を使う存在だ。この分野に彼らが参入してくるも時間の問題といえる」(鉢嶺氏)

「攻めのデジタルシフト」が生死を決める

「デジタルを軸に経営環境が激変しているのに、日本では危機意識を持たない経営者があまりにも多い」と鉢嶺氏は警告する。典型例がアパレル業界だ。「経営者セミナーに行くと、『アマゾンが日本でアパレルに参入したらどうなるか』という問題に明確な解を持つ人がいないことに驚く」。19年9月には、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOがソフトバンク傘下のヤフーの子会社になると発表された。この動きにも「アマゾン効果」が透けて見えるのだが……。

オプトホールディングは今から十数年前に電通と提携して、同社のデジタルシフトを手がけてきた。その後も「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブやソフトバンクをはじめ多くの大手企業でコンサルティングを行っている。その経験を踏まえて鉢嶺氏は「デジタルシフトが成功するかどうかは、経営トップの問題だ」と断言する。「トップにデジタルシフトを戦略の中心に据える決意と覚悟がないと、デジタルシフトは失敗する」

デジタルシフトには「攻め」と「守り」の両面がある。守りのデジタルシフトは比較的ハードルが低い。社内の効率化のためにAIを入れるといった具合に、どの会社でもツールを入れるだけで済む。一方「攻めは難しい、AIを使いながら自分たちのビジネスの武器を作っていく作業になるからだ」(鉢嶺氏)。その当面の目標は、GAFAが自社のビジネス分野に参入してきたとしても負けない戦略を確立することにある。ある意味で、新規事業を立ち上げて軌道に乗せるプロセスと同じだ。「これに成功している日本企業は、リクルートや資生堂、SOMPOホールディングスなど数少ない」と鉢嶺氏は言う。

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