『時効警察』12年ぶり復活 シュールなコメディと推理
警察官・霧山修一朗(オダギリジョー)が、あくまで趣味として時効になった事件を調べる。シティボーイズの舞台演出や、放送作家としても知られる三木聡監督がメインで作・演出を手掛けた、2006年と07年の連ドラ『時効警察』シリーズ(テレビ朝日系)。シュールな笑いや小ネタが人気を呼んだ、このコメディミステリーが『時効警察はじめました』として12年ぶりに復活した。
ゼネラルプロデューサーの横地郁英氏は、前作終了後に何度か、続編の制作を考えたという。「きっかけは、今年のテレ朝60周年。三木さん、オダギリさん、(三日月しずか役の)麻生久美子さんの思いをうかがいつつ、この時期なら集まれるとなって、実現しました」(横地氏、以下同)
10年の法改正により、殺人事件の時効は廃止となった。だからこそ、「逃げ切った犯人vs 時効事件を趣味で捜査する男」の構図がより引き立つ。「今から25年くらい前の事件は、時効になっているんですよね。前作は時効になってすぐの事件を扱っていましたが、今回は10年くらい放置されたものを調べる、ということになります」。オダギリと麻生の共演は、前作の『帰ってきた時効警察』以来。ドラマでも、12年ぶりに再会するという設定にした。
今回、吉岡里帆が新人刑事の彩雲真空役で、磯村勇斗が鑑識課の又来康知役で新加入した。「吉岡さんは三木さんの監督作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ』(18年)でのヒロインが素晴らしく、オファーしようと三木さんと話しました。GP帯(19~23時)で主演を務めるほどなので、なかなか出演は難しいかもと思いましたが、快諾してくれました。磯村君は『ひよっこ』(17年)から気になっていて、勢いがあるし、お芝居も上手。コメディセンスも高いと思い、お願いしました」
本作は三木以外にも新進のクリエイターが制作陣に名を連ねるのも注目ポイント。自身もキャストの1人である岩松了や、園子温監督らが参加してきた。今回は福田雄一監督が脚本を手掛けるほか、『勝手にふるえてろ』(17年)が各映画祭で話題を呼んだ大九明子監督や、『アイネクライネナハトムジーク』が公開中の今泉力哉監督も作・演出を担当する。「福田さんは三木さんをリスペクトしていて、大九さんは、女性ならではのキャピキャピした笑いが魅力。今泉さんは恋愛描写が素晴らしい。『時効警察』は霧山と三日月の関係性も見どころの1つ。そこに彩雲が入り三角関係になるのかならないのか、という話もあるかもしれないので、恋愛パートを今泉さんに補強してもらえれば(笑)」
過去2作には根強いファンがいる。「23時台の作品ながら、2作とも平均視聴率が10%を超え、DVDやグッズも売れました。当時はBBSでしたが、今で言う"バズり"の感覚で、大量の書き込みがあったんです。初めて見る方もお試し感覚で世界観に触れていただきたいです」
(日経エンタテインメント!11月号の記事を再構成 文/田中あおい)
[日経MJ2019年11月8日付]
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