アリババのビジネスモデル 前最高戦略責任者が理論化リブロ汐留シオサイト店

このプラットフォームには独自のブランドを立ち上げ、収益を伸ばしていくウェブセレブと呼ばれる起業家群も現れてくる。売り手がネットワークを使うのを支援する個人や企業も参入してくる。誰もがなんらかの役割で参加できる楽市楽座のようなオンライン上のビジネスワールド。これがアリババがデータインテリジェンスを駆使し、ネットワークを調整することで生み出している世界だ。この世界で個人はどのように生き抜けばいいのか。ささやかな教訓を示して本書は締めくくられる。

訳者による著者インタビューが日本版特別付録として付く。そこでは日本や日本のデジタル企業へのアドバイスなども語られる。

中国のデジタルビジネス関連書、相次ぐ

「前の週はテンセントの本がよく売れて、その後この本が入荷して入れ替わるように売り上げを伸ばした」と店長の三浦健さんは話す。テンセントの本というのは、中国のビジネス作家呉暁波氏が同社の歩みをまとめた『テンセント』(プレジデント社)のことだ。こちらの帯には「『ネクストGAFA』はこの会社だ!」との文字が躍り、一方、アリババの本の帯には「GAFAを超える『陰陽ビジネスモデル』のすべて」との文字が躍る。

18年はGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)を巡る本が数多く出版された。今年は中国の巨大プラットフォーマーやデジタルビジネスを巡る本の出版が相次ぐ。ビジネストレンドを見通すには、二大IT大国のプラットフォーマーの動向を押さえておくのが必須になっているようだ。

それでは、先週のランキングを見ておこう。今回はベスト10まで紹介する。

(1)2050年のメディア下山進著(文芸春秋)
(2)アフターデジタル藤井保文・尾原和啓著(日経BP)
(3)僕たちは、地味な起業で食っていく。田中祐一著(SBクリエイティブ)
(4)FACTFULNESSH・ロスリングほか著(日経BP)
(5)神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り星渉著(KADOKAWA)
(6)危機と人類(上)ジャレド・ダイアモンド著(日本経済新聞出版社)
(7)タニタの働き方革命谷田千里著(日本経済新聞出版社)
(8)アリババ 世界最強のスマートビジネスミン・ゾン著(文芸春秋)
(9)SQM思考三木雄信著(PHP研究所)
(10)危機と人類(下)ジャレド・ダイアモンド著(日本経済新聞出版社)

(リブロ汐留シオサイト店、2019年10月27日~11月2日)

1位は前回「デジタル化で何が起きたか メディアの地殻変動を活写」で紹介したメディア史のノンフィクション。「『FACTFULNESS』並みの初速で売れている」(三浦店長)という。共同通信社、朝日新聞社、電通などがほど近い同店ならではの売れ筋だ。2位の『アフターデジタル』は、中国のデジタル事情をもとに「オンラインが主でオフラインが従」という世界を描き出した内容。今回紹介した本や『テンセント』の関連書として再浮上している。3位は、会社員の標準的なスキルで稼いでいく「地味な起業」の方法を伝授する本だ。4位に『FACTFULNESS』。5位は、人の心を動かす「伝え方」を説いた本。「伝え方」はスキル本、自己啓発書の人気テーマだ。

幕末期の日本をはじめ危機を乗り越えた7つの国の事例から人類のあり方を考える話題の翻訳書『危機と人類』は上巻が6位に下巻が10位にランクインした。働き方改革の先端事例のルポが7位、孫正義氏仕込みのビジネス思考法を説いた本が9位、紹介したアリババの本は8位だった。

(水柿武志)

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