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かつて米国で販売していた「柿の種」(亀田製菓提供)

かつて米国で販売していた「柿の種」(亀田製菓提供)

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。7人目は、マーケティングの専門家、エリー・オフェク教授だ。

(中)「米国を諦めない」 ハーバードが追う亀田製菓の気概 >>

佐藤 オフェク教授はIT分野のマーケティングの専門家ですが、今回、日本の食品メーカーの教材を執筆されました。「亀田製菓:アメリカ市場への挑戦(Kameda Seika: Cracking the U.S. Market)」は、オフェク教授が初めて書いた日本企業の教材だそうですね。

食品は文化製品 他国への進出に困難伴う

オフェク 私の主な研究対象はテクノロジービジネスにおける新製品戦略です。その教材となる事例を探していたところ、ふと「ITの新製品を市場に導入すること」と「音楽、ドラマ、食品など文化製品(国や地域の文化に深く根ざした製品)を他国に導入すること」は、とても似ていることに気づいたのです。

ハーバードビジネススクール教授 エリー・オフェク氏

ハーバードビジネススクール教授 エリー・オフェク氏

そこでまずは韓国のエンターテインメント企業、CJ E&M(現CJ ENM)のアメリカ進出の教材「CJ E&M:アメリカにおける韓国文化事業の創出(CJ E&M: Creating a K-Culture in the U.S)」を書き、次に書いたのが亀田製菓の教材です。亀田製菓のアメリカ進出の話を聞いたとき、「日本で長年親しまれてきた米のお菓子を、アメリカでもヒットさせることができるのか」というテーマに焦点を置けばとても面白いケースになると思いました。

佐藤 この教材はどの授業で教えていますか。また学生からの反応はいかがでしょうか。

オフェク ハーバードビジネススクールのエグゼクティブプログラムと、ハーバードカレッジの1年生向けのセミナーで教えています。どちらの授業でも、亀田製菓の事例はとても評判がいいです。

エグゼクティブプログラムでは、創業者、社長など企業トップ向けの講座で教えています。受講者の3分の2は米国外から参加者で、その多くは、自動車、家電製品、飲料、IT技術など、自国の製品やサービスをアメリカ市場に導入した経験がある人たちです。自国でうまくいったものが、アメリカで売れるとは限らない、同じマーケティング戦略が通用しないことが多々あるという現実をよく理解しています。

経営者や創業者が亀田製菓の事例について特に興味をもって議論してくれるのは、アメリカ市場で自社製品を売り出すことの難しさを身をもって体験しているからです。

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