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ビリー・アイリッシュ いびつすぎる歌姫(川谷絵音)

ヒットの理由がありあまる(15)

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NIKKEI STYLE

ようやく15回目を迎えました。今回取り上げるのはビリー・アイリッシュのアルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』。初の洋楽です。現在、世界で最も注目を集める歌姫となった彼女を、サウンドだけでなく、その背景も含めて解説していこうと思います。

まず彼女の楽曲はというと、強烈な低音と音数の少ないトラックというフュージョン感、それに独特なハスキーボイスという組み合わせがとても新鮮だ。声のエフェクトのかけ方もいびつで、すべてにおいて聴いたことのないアーティストが誕生したと言える。数多くのトップミュージシャンもファンを公言しており、レディオヘッドのトム・ヨークは「最近だと唯一興味深いことをやっている人だよ」と絶賛。もともとビリーがファンだった、ジャスティン・ビーバーともコラボ曲を発表している。

ビリーのサウンドメイクに関しては、共同制作者の実兄フィネアス・オコネルの功績が大きいだろう。彼は音楽的造詣も深く、ソロ名義作の『FINNEAS』を聴いてもアレンジのレベルの高さがうかがえる。しかも、単なるプロデューサーではない。兄であることからビリーと共有してきた時間も多く、その関係性から生まれる、技術ではどうにもできない感性がビリー・アイリッシュというアーティストの美しさにつながっていると思う。

ダボダボの洋服に込められた意味

そして彼女は今や、新世代のファッションアイコンにもなっている。彼女のファッションはダボダボのサイジングで奇抜なものが多い。「誰にも強制されたくない、自分のすべてを分かってほしくない」という強烈なメッセージがそこには込められており、それはティーンエージャー以外にも響いたはずだ。その結果、海外のライブでは、一般的に分かりづらいアレンジの曲にもかかわらず大合唱が起きている。日本でも女性モデルなどのインスタのストーリーに、今作のリード曲『bad guy』を聴いている様子がたびたび投稿されるなど、近年類を見ない社会現象を巻き起こしている。

しかしビリーは、アリアナ・グランデのような従来のアイコンとは違う。アリアナは"ザ・アメリカのポップスター"という感じで、誰もが違和感なく受け入れている。ビリーはそれとは真逆で、曲も存在もあまりにもいびつだ。ポップスターは時代の流れを先取っているからスターであるわけだが、これからどんどん世界はいびつなものになっていく予兆なのかもしれないと個人的には思った。

そして、極めつけは、アーティストとファンをつなぐSNSの使い方だ。彼女は、無意識に反復的な動きや発声を引き起こす、トゥレット症候群を患っていることを公言したり、鬱や金縛りに苦しんでいるなど、リアルな苦悩を発信する。ティーンエージャーからすると、同年代の自分たちと同じ女の子なのだ。また、そのティーンエージャーたちからビリー自身も助けられたと本人が語っている。ビリーは誰よりも共感できるリアルであり、彼女の発言はティーンエージャーの支えを受けてより影響力を持つようになっている。彼女のインスタグラムのフォロワーは現在、約3500万人にものぼる。この圧倒的な発信力と特徴的なファッション、彼女が時代のアイコンであることは紛れもない事実だ。

音楽的でありながら、ポップアイコンになることの難しさは歴史が証明している。ただビリーはそれを成し遂げようとしている。恐らくビリーのフォロワーがこれからたくさん出てくると思うが、そのたびにビリー・アイリッシュというアーティストの格が上がっていくだろう。日本で言えば米津玄師。彼も音楽的でありながら日本のポップアイコンになろうとしている。"音楽の良さというのは、アーティストの存在感が60%を占めるといっても過言ではない"。SNS時代の今、アーティストの人間力が試されているわけだ。自戒の念も込めて、これを書き記して締めたいと思う。

川谷絵音
 1988年12月3日生まれ、長崎県出身。ゲスの極み乙女。、indigo la End、ジェニーハイ、ichikoroといったバンドのボーカルやギターとして幅広く活躍。ゲスの極み乙女。の新曲『秘めない私』を現在配信中。ジェニーハイは、11月27日に1stフルアルバム『ジェニーハイストーリー』をリリースする。

[日経エンタテインメント! 2019年10月号の記事を再構成]

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