強まる日本株高 不動産価格革命が後押し(武者陵司)武者リサーチ代表

好立地のマンションへの需要は根強い(写真はイメージ=123RF)
好立地のマンションへの需要は根強い(写真はイメージ=123RF)

日本株の上昇基調が強まっている。日経平均株価は前週末まで4日連続で年初来高値を更新し、2万3391円と2018年10月以来ほぼ1年1カ月ぶりの水準を回復した。ここにきての株高は米中貿易交渉が進展し、景気や企業業績の悪化に歯止めがかかるとの期待が理由とされるが、筆者は日本の不動産市場で構造的な変化が進行していることも見逃せないと考えている。いわば不動産の価格革命と表現することができ、日本経済が長年苦しんできたデフレから脱却する決定打となる可能性が大きい。

まず不動産市場の現状をチェックしてみよう。目立つのはマンション価格の上昇である。特に首都中心部、地方中核都市の価格上昇が顕著だ。不動産経済研究所の資料などによると、新築マンションの坪単価は2005年から08年にかけて約3割上昇したあとリーマン・ショックの影響で12年まで停滞した。13年から上昇基調に転じ、19年9月時点で13年比約4割の大幅上昇になった。

中古マンションの価格もここ2~3年、新築マンションを上回るペースで上昇しているもようである。同時に賃料も都心部の高級マンションの坪当たり賃料は12年の約1万3000円から19年9月時点で約1万8000円へと、ほぼ4割上昇した。空室率の低下、賃料の上昇、金利低下の三重奏に支えられている。

マンション価格の上昇に対して振るわないのが戸建て住宅と住宅地である。国土交通省の資料などによると、戸建て住宅と住宅地の価格は09年に底入れしたものの、足元までほぼ横ばい圏内で推移している。不動産市場で二極化が鮮明になっているのだ。

不動産評価、利用価値に脚光

背景には不動産価格の決定要因がこれまでの土地本位(担保価値)から利用価値にシフトしつつあることが指摘できる。日本の不動産評価では建物は一般的に築年数を経るにつれて減価するのに対し、土地が価値を保つとされてきた。こうした土地本位、不動産価値神話が一戸建て志向につながり、郊外の遠隔地から都市中心部への長距離通勤・通勤地獄となった側面は強い。

しかし現在はライフスタイルの変化で所有よりも利用・シェアを重視する人が増えており、これが不動産の利用価値による再評価を促している。共働き子育て世代にとっては郊外の一戸建てよりも職住近接の物件の方が利便性は高いだろう。好立地の住宅不足がマンションの需要と家賃を引き上げている。

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