最新コワーキングスペース 子連れOK、女性も便利
普段は違った環境で働く人々が、同じ空間で、ときにつながりながら働く共用の仕事場「コワーキングスペース」。複合機や会議室あり、専用デスクあり、ロッカーあり、託児所あり……など、施設によって設備もサービスもさまざま。共通しているのは、会社や自宅といった「日常」に縛られず、特色ある空間で自由な働き方ができること。女性にも使いやすい、東京都内の施設を2つ取材しました。
子連れでの仕事も実現できる設計に
一つ目は、コワーキングスペース「BIZcomfort大森山王」。2019年6月1日にオープンした施設で、コンセプトの一つに「女性向け」があり、子連れでの仕事も実現できる設計になっています。WOOC(ウォーク)が運営。
ロケーションは、JR大森駅から徒歩1~2分という好立地です。6階建ての新築ビルの地下1階に「子供用プレイルーム」と「カルチャーサロン」、1階にレンタルキッチンやミシンを備えた「ホビースペース」。2階がフリードリンク&フリーWi-Fi完備の「ワークブース」となっています。シート数は114席と広々。
できたばかりの広々スペースに足を踏み入れて、驚き。なんといっても、新しくてキレイ。それにオシャレ。コワーキングスペースって、もっと味気ない事務所っぽい空間と思っていた筆者には、新鮮でした。
このスペースのインテリアコンセプトは「Botanical Garden(植物園)」で、ワークブースのインテリアカラーはグリーンで観葉植物があふれています。一人でも心地よく、仕事がはかどりそう。子ども用プレイルームのオブジェや壁紙のイラストには動物や緑が配色されています。
利用料金は、一時利用のドロップインで1日1000円。1時間なら300円。ドロップインでも、1日中施設を利用できるというハードルの低さが魅力的です。もし、もっとヘビーに利用したい、という場合は、月額プランを選んだ方がおトクかも(月額2000円~)。
ちまちま作業をして体ががちがちに凝ってしまったら、地下1階のフィットネススタジオに行くもよし。ヨガマットが完備されており、ヨガでリフレッシュしてもいいですね。至れり尽くせりです。
料理が好きならば1階のレンタルキッチンで、料理教室や、食事つき女子会開催も楽しそうです。ここでなら、フォトジェニックな写真もうまく撮れそう。ホビースペースではミシンも使えます。ミシンは家にないけれど、使いたい機会がたまにある、というときはこちらを利用するというのも手です。
WOOCによれば、コワーキングスペースは、中古物件を活用する例が多く、新築物件として展開するのはレアだそう。ちなみに3階から5階は、同社運営のレンタルオフィス「BIZcircle大森山王」で、完全個室空間にマイオフィスを持ちたい、と考える人にはこちらのほうがよさそうです。
コワーキングスペースの「BIZcomfort大森山王」、レンタルオフィスの「BIZcircle大森山王」、いずれの場合でも、地下1階にいるコンシェルジュを通し利用します。
仕事や作業のイメージの強いコワーキングスペースですが、「BIZcomfort大森山王」はクリエイティブやホビー活動にも打ち込めるサービスにあふれていました。
全国に50施設展開しているBIZcomfortはどこもコンセプトが異なるのが特徴です。3月に開業した「BIZcomfort横浜元町」は潜水艦がモチーフ、「BIZcomfort京都四条烏丸」はワークブースにほりごたつ。「BIZcomfort千葉駅前」はパリの街角にあるビストロをイメージしたそうです。毎回、違う拠点を利用するというのも楽しそうですね。
オーナーの思いが形に 創造性ある温かいスペース
さらに女性をターゲットにしたコワーキングスペースといえば、JR恵比寿駅から徒歩3分、通称タコ公園そばにある「FLOWER GARDEN 恵比寿コワーキングスペース」です。
雑居ビルのワンフロア、66平方メートルというこぢんまりとしたスペースに、施設名にある「FLOWER(花)」のデザインを取り入れ、「オランダのオフィスでよく使われる色をイメージ」して、キュートに作り上げました。椅子の色もカラフルで、コワーキングスペースにしては珍しい暖色系のライトでまとめています。
壁にはコラージュアーティストや、障がい者が描いた作品が飾られていて、さりげなく置かれた雑貨もいちいちかわいい。
ウェブデザイン制作を手掛けるFLOWER GARDEN代表取締役で、念願のコワーキングスペースを実現した小澤みゆきさんによると、現在はセミナーや講座での利用が主で、2~3日に1回ほど、約30人の規模のものが開催されているそうです。例えば最近では、女性向けの不動産投資指南セミナーや、税理士による事業計画書作成セミナーなどがあったそうです。
「女性のための、女性による、女性がつなぐシェアオフィス」とはいえ、パートナーを連れていきたい人もご安心を。男性も利用可能です。
利用料は、ドロップインが1000円(1回2時間まで)。女性の月額利用料金は、正規会員が1万2000円、曜日会員が8400円(いずれも入会金1万円)。男性の場合はこれより割高になります。※キャンペーン期間中は料金が異なります。
ゆくゆくは託児スペースも作る予定だそうで、まさにママさん、プレママさん向けといえる場所。そのため利用時間も10時~18時半(セミナー時は21時まで)と、短めに設定しています。「働くのは日中の短い時間にしてもらいたいから」と小澤さん。
ダラダラ働くのではなく、女性に優しい、女性が集うこの空間で、メリハリつけて仕事する。こんな働き方もよいのかも……。
「社会に出ずに家の中にいる素晴らしい『人財』を生かしたいという思いが強くあって、女性の起業したい気持ちを後押しする場所をここ恵比寿につくりました。この物件に出合えるまで、4年もかかったんですよ」と、小澤さん。興味がある人はぜひ行ってみて。
東京都大田区山王2-5-6 SANNO BRIDGE
FLOWER GARDEN 恵比寿コワーキングスペース
東京都渋谷区恵比寿1-16-29 4F
(取材・文 大崎百紀、写真<FLOWER GARDEN> 稲垣純也)
[日経doors 2019年7月3日付の掲載記事を基に再構成]
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