休日や深夜に上司からメール これってパワハラなの弁護士 志賀剛一

写真はイメージ=PIXTA
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Case:67 私の上司であるAさんは休日だろうが深夜だろうが、何か思いつくとすぐに部下複数人を宛先にした一斉送信メールやグループチャットを送ってきます。すぐに対応する必要のないことばかり送られてきますが、何人かの社員は「忠誠心」からか、直ちに返信しています。以前、私が何も返事を返さなかったところ、「なぜ無視した」と叱責されたことがあり、休日でも心の休まるときがありません。本当に緊急事態ならやむをえないとも思えるのですが、こういう行為はパワハラではないのでしょうか。

いつでもどこでも連絡が取れる環境

日本の古い映画やドラマを観賞していると、深夜、自宅の黒電話が大きな音で鳴り、妻が「あなた、〇〇さんからお電話です」などと取り次ぎ、ガウンを着た重役っぽい人が受話器を受け取って仕事の会話をするようなシーンがしばしば見受けられます。

今の時代、深夜や休日に自宅の固定電話に業務の電話がかかってくることはほとんどないでしょうが、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、利便さの半面、いつでもどこでも連絡がとれる環境になってしまい、自宅どころか旅行やレジャーの最中でも業務の連絡をすることが可能になってしまっています。

これをうまく活用すれば、働き方改革の一環としてテレワークなどを推進することにもなるのですが、業務時間内は会社で、それ以外は電話やメールで対応ということになると、まさに24時間365日が「ワーク」になってしまいます。

なお、警察などの捜査機関や鉄道・電力などのインフラ系、マスコミなど職種や業種によっては深夜や休日の対応が不可欠な場合もあると思われますので、ここではあくまでも標準的な事務職を念頭に置いて述べていくことにします。

時間外労働、会社は残業代を支払う義務

労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を「労働時間」といいます。電話、メール、グループチャットなどを用いて勤務時間外に連絡をし(以下「時間外メール」といいます。)、何らかの業務指示をすれば、それは上司の指揮命令に置かれていることになり、その対応に要した時間は「労働時間」となります。

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