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星出彰彦さんに聞く 宇宙飛行士はスーパーマンか

現役宇宙飛行士に聞く(上)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

2020年、宇宙飛行士の星出彰彦さん(2019年11月現在50歳)が日本人として2人目のISS(国際宇宙ステーション)船長として、3度目の宇宙に飛び立つ。インタビュー記事の1回目では、宇宙飛行士になるまでの訓練やトレーニング、宇宙飛行士に求められる資質などについて伺った。

◇  ◇  ◇

3度目の正直で、夢だった宇宙飛行士に合格

――星出さんが宇宙飛行士になられたきっかけを教えてください。

小学校低学年の頃、父の仕事の関係で米国で暮らしていまして、そのときに連れて行ってもらったケネディ宇宙センターで本物のロケットを見たり、SFのアニメや映画を見たことが、宇宙に憧れたきっかけだと思います。小学4年生のときに「アンドロメダ星雲に行きたい」と作文に書いていました。

宇宙飛行士になるには、宇宙航空研究開発機構(以降、JAXA)の宇宙飛行士選抜試験に合格しなければいけません。僕は3度目の挑戦で合格しました。

1回目は大学生のときです。応募要項には「自然科学系大学卒業、3年以上の実務経験」が必要と書いてありましたが、大学生ですから受験資格がなく、「本当にやりたいなら熱意を見せなさい」という父の言葉に背中を押されて、応募書類を当時の宇宙開発事業団(現在のJAXA)に持ち込み直談判しました。応募資格を満たしていないので受験できませんでしたが、このときの父の言葉は今でも僕の中に息づいています。

2回目は、大学を卒業して宇宙開発事業団の職員として働いていたときです。純国産の液体燃料ロケット(H-2ロケット)開発などのものづくりに関わった後、宇宙飛行士の技術支援を担当していました。そのときの試験では野口聡一飛行士が合格し、僕は最終選考で落ちてしまいました。

そして次に受験した1999年、僕は3度目の正直で念願の宇宙飛行士候補者になることができました。

――宇宙飛行士候補者に選ばれてから、どんな訓練をするのでしょうか。

まず基礎訓練という約2年間のフェーズがありました。僕は古川聡飛行士、山崎直子飛行士とともに、JAXAの国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士候補者として選抜されたので、国際宇宙ステーションに滞在するために必要な科学的・技術的な知識と技能、国際宇宙ステーションの共通言語である英語、ロシア語などを日本で学びました。

その間は学生時代に戻ったようにがむしゃらに勉強しました。毎日宇宙ステーションのシステムに関わる資料を読み講義を受け、宇宙での実験や研究について専門の先生に教わり、スペースシャトルについても学びましたが、その勉強量は相当なものでした。

6時間の水中トレーニングでへとへとに

――それから今に至るまで、体力的なトレーニングはどういったことをされているのですか?

トレーナーに細かく指導されるというより、トレーナーの準備してくれたメニューに基づき、ジムを自由に使って、自分で体を鍛えています。訓練の間は、健康でいることが第一の目的で、宇宙から地球に帰還した段階で困らないように体を鍛えることも大事です。

もう一つ、宇宙遊泳ができる筋力や体力をつけることが求められます。宇宙遊泳と聞くと気持ちよさそうな姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。宇宙自体は重力がないので動きやすいですが、宇宙遊泳用の宇宙服を着ると非常に動きにくくなります。宇宙服の中は0.3気圧、つまり普段我々が過ごしている地球環境に対して約3分の1の圧力しかありませんが、外は真空なので、宇宙服は膨らんだ風船のようなパンパンな状態になります。そのような状態で腕を曲げたりモノをつかんだりという動作を6時間近くずっと続けるのは体力的に非常にきついので、それに耐えられる筋力と持久力を鍛える必要があります。

宇宙遊泳の訓練では、本物の宇宙服と同じように作られた訓練用の宇宙服を着て、大きなプールに入ります。水の浮力を利用した模擬の無重力環境における約6時間に及ぶ訓練は、ヘトヘトになるぐらいとてもしんどいです。

――ジムでは、どれぐらいトレーニングされているのでしょうか。

人によってまちまちですが、僕の場合はジムでエクササイズ用の自転車をこいだり、ジョギングをしたり、筋トレをしたりしています。ジムに通う頻度は実はそんなに多くありません。本当は週2日は通いたいのですが、忙しくて週1日、2時間程度になることもあります。

僕自身、大学時代にラグビーで鍛えていて体力には少しは自信がありましたが、欧米人に比べると体も小さく、筋力や体力は劣るので、鍛えなければいけません。同じレベルには鍛えられませんが、宇宙での仕事に支障が出ない程度には鍛える必要があります。

ちなみに、宇宙飛行士はなんらかのトラブルで緊急帰還しなければいけない場合、海に着水することもあるので、泳げなければいけません。中・高では水泳部だったので泳ぎは得意でしたが、持久力をつけるためにも、ときどきプールで泳いだりもします。

宇宙飛行士はスーパーマンでなくてもいい

――健康や体力はもちろん、精神面も宇宙飛行士に求められるものですよね。

もちろん、気持ちを平穏に保つことは大事になります。求められるものという意味では、時代とともに変わっていったと思います。

例えば、ユーリ・ガガーリン宇宙飛行士(1961年に世界初の有人宇宙飛行としてボストーク1号に単身搭乗)の時代は、宇宙船のなかでは1人で何もかもやらなくてはいけませんでした。宇宙も今よりもずっと未知の世界だったので、どんなことが起きても平常心を保ち、どんな不安や困難も乗り越える精神力や体力、スキルが求められたでしょう。いわゆるスーパーマンのような精神力や体力のある人が、宇宙で活動できたように思います。

その後、スペースシャトルなどで複数の宇宙飛行士がチームで飛行するようになり、一人の宇宙飛行士頼みではなく、チームワークを重視した考え方・取り組みにシフトしていきました。担当を分けてチームを組み、いろいろな作業に臨む形です。さらに、国際宇宙ステーションの時代になると、米国、ロシア、欧州、カナダ、日本の宇宙飛行士が参加するので、国を超えた協調性が必要になってきました。

もちろんスーパーマンのような宇宙飛行士もいますが、僕自身はそんなタイプではありません。JAXAの職員から宇宙飛行士になったこともあり、開発や運用のチームを見る機会があったので、チーム全体の中での自分の役割を常に考えながら取り組む意識があるように思います。チームの中でどう貢献できるかを考えることは、宇宙飛行士に求められる資質の一つです。

――星出さんご自身がチームワークの重要性を意識されるようになったきっかけは何ですか?

僕は、宇宙飛行士として地上で勤務しているときは、訓練と並行してNASAのミッションコントロールセンターの管制官の1人として、宇宙で活動する宇宙飛行士と交信する役割を担ってきました。管制チームの一員として宇宙飛行士を地球からサポートする役割を経験したことにより、宇宙飛行士は1人では宇宙に行くことすらできないし、大勢のスタッフによる24時間365日のサポートがあってこそ活動できるものだという視点が強くなったのだと思います。

だから宇宙飛行士の仲間だけでなく、地球にいるスタッフも含めた大きなチームがあり、そのチーム全体を見て良い方向に進むために、自分は何をすべきかという意識ができたのだと思います。そうした経験がないまま宇宙飛行士になっていたら、今のようにチームワークを重視する考えには至らなかったかもしれません。

このチームワークという考え方は、宇宙に飛び立つとき、そして宇宙で過ごすうえでの「メンタル面の安定」という意味で、十分な支えになりました。

次回に続く)

(文 高島三幸)

星出彰彦さん
1968年東京都生まれ。慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業、ヒューストン大学航空宇宙工学修士課程修了。92年宇宙開発事業団(現JAXA)に入社。H2ロケットなどの開発・監督、宇宙飛行士の技術支援などを経て、99年日本人宇宙飛行士として選定。08年スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗し、「きぼう」船内実験室の国際宇宙ステーション(ISS)取り付け作業に参加。12年ISS第32次/第33次長期滞在クルーとしてISSに約4カ月滞在。2020年には約半年間、再びISSに滞在し、期間中は船長も務める予定。

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