Men's Fashion

「旅する知性」 相棒のかばんはベルルッティ

リーダーが語る 仕事の装い

日本総合研究所会長 寺島実郎氏(下)

2019.11.8

世界中をフィールドワークし、執筆活動、テレビ出演、講演と幅広い領域で活躍する一般財団法人日本総合研究所会長の寺島実郎さんにとって、「目がない」というほど興味をそそるのが、かばんや筆記用具の数々。国内外を飛び回る際の大切な相棒だ。ひと目でとりこになった染色が美しいビジネスバッグや限定記念品のペンなど、コレクションは膨大な数にのぼる。「旅する知性」とも呼ばれる寺島さんに響く雑貨に共通するのは、実用美と唯一無二の個性だった。




かばんと筆記具に異様なまでのこだわり

――テレビ出演など人から見られる仕事では服装に気を使いますか。

「このスタイルでなければ、という意識はありませんね。ただね、世の中的には僕がダブルの背広を着ているというイメージがあるみたい(笑)。間違いではないですよ。確かに無意識でダブルばかりを着ていた時期があるからね。僕は世に言われるVAN世代なのですが、しゃれ者に憧れたという記憶はほとんどないのです」

海外出張は1カ月半に1度のペース。使い込んだトゥミのスーツケース

――きょう着ているスタイルは。

「服を買うのは高島屋、和光が多いですね。このパイプ柄のシャツは自分で選んだ生地で作ってもらいました。ジャケットも作ってもらったものですけど、お店に任せました。装いに関するこだわりはないのですが、自分の異様なまでのこだわりがあるものといえば、かばんと筆記具なんです」

――かばんに魅了される理由は何ですか。

「服装にこだわらない男でも、さりげなく持っているかばんには、その男が持つコンテンツとメッセージがにじみ出ているものなんです。これまでの経験からそんな瞬間を何度も感じてきたんだな。かばんは結構大事で、機能性とともに、いろいろな意味を表すのです。これは香港で手に入れた、ひと目で気に入ったかばん。ベルルッティです」

――ベルルッティ独特の染色(パティーヌ)です。ゴールドが使われていてすてきですね。

「インパクトがあるでしょう。香港の店で見つけました。最初に見せてもらったかばんがいまひとつだな、と言っていたら、スタッフが特別なものとして出してきてくれました。はっとしましたね。どこにもないものだなと」

ピークアドロは多様なポケットやマチを広げるファスナーもデザインのポイント。モダンなビジネスバッグだ

「海外出張で愛用するのはこちらのピークアドロのかばんです。ビジネス用を中心にしたイタリアブランドで、小物を入れるポケットがやたらにあって、最初はどこに何を入れたのか忘れちゃったくらい。驚くほどの機能性があり、今では僕に一番なじんでいます。かばんコレクションはものすごい数ですが、なぜかこの2つが気に入っています」