来年は所得税の重税感じわり 影響は「中所得者」にも

年金課税についてはもともと「控除できる金額が大きすぎる」(佐藤主光・一橋大学教授)との見方があった。公的年金は保険料を払う段階で社会保険料控除の対象となり全額を差し引ける仕組みがあるためだ。公的年金等控除も今後、縮小議論が広がりそうだ。

会社員にとってもう一つ気がかなりなのが政府内で浮上している退職金課税の見直しだ。定年時などの退職金は一時金の形で受け取ると、そこから「退職所得控除」を差し引くなどして税計算する(図C)。

控除額は勤続1年当たり当初40万円だが、20年を超えて勤めると一気に年70万円に枠が拡大する。同じ会社で長く勤めたほうが有利で「旧来の終身雇用制度を前提とした控除」(辻・本郷税理士法人の浅野恵理税理士)といえる。

これに対して自民党の甘利明税制調査会長が10月「働き方で損得が出るのは避けないといけない」と日本経済新聞などとのインタビューで発言。首相の諮問機関の政府税制調査会も9月の中期答申で見直しの必要性を提言した。

仮に将来、退職所得控除が見直されたら退職一時金の税負担はどう変わるのか。図Cで勤続年数によらず控除額を一律年50万円と仮定して概算してみた。

勤続年数が短いと減税、長いと増税になりやすい。大卒で就職して38年間勤め3000万円をもらった場合16万円の増税になる。退職金課税についてはかなり前から議論されてきたが、具体的な検討段階に入りつつある。

(後藤直久)

[日本経済新聞朝刊2019年11月2日付]

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