来年は所得税の重税感じわり 影響は「中所得者」にも

図Bには税額の試算例を示した。例えば年収が1100万円で今年も来年も同じ場合、その人の給与所得控除の額が25万円減って195万円になる。その影響から課税所得は15万円増える(基礎控除の10万円増と差し引き)。その人の所得税率が23%だとすると3万4500円の増税となる。

こうした給与所得控除の縮小、実質的な増税はこれまでも繰り返されてきた。かつては年収に応じて増える定率部分があり高所得者ほど有利だったが、13年から上限を設定。その後は上限、適用年収ともたびたび引き下げられ、重税感がじわじわ広がっている。

次に年金生活者の所得税を見てみよう。国から厚生年金や国民年金、以前の勤め先から企業年金を受け取っている人の場合、「公的年金等控除」という仕組みがあり、年金収入から差し引いて所得を圧縮できる。

現在、控除額に上限はないが来年から初めて設定される。基準は「年金年収1000万円超は195.5万円が控除上限」だ。これだけ多額の収入がある人は限られるが、中には企業年金を含め高収入者もいる。将来、適用年収が引き下げられ増税になる人が増える可能性もある。

退職一時金も視野

所得税の改正について中央大学の酒井克彦教授は「少子高齢化で膨らむ財政支出を賄うには消費税だけでなく所得税の役割がより重要になっている」と指摘。それにより「所得を再分配する税金の機能を強化するのが趣旨」という。

21年以降の税制改正は未定だが「高収入ほど負担増」という方向性は続きそうだ。給与所得控除、公的年金等控除ともに上限・適用年収の引き下げが改めて議論されるとみる専門家は多い。給与所得控除は縮小の影響が「より中所得の層に広がっていく」(税理士の藤曲武美氏)とみられる。

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