年金破綻リスクあるか 「5年前より悪くなっていない」どうなる年金(1)

まず「少子化の進展に抑制の兆し」が見られていることです。少子化は将来の働き手の減少につながりますので、年金財政にいい影響を及ぼしません。しかし、出生率は以前のシナリオほど下がらず、少し上振れしました。今後、子どもが減っていくことは避けられないものの、ちょっとした好転があったことで、長い目で見ると年金財政を支える力となります。

これに伴い、将来の高齢化率も以前の想定より低下します。高齢者は長生きになる傾向にありますが、出生率の向上によりプラスに作用するからです。これらは財政検証結果にいい方向で影響しました。

また、女性や高齢者の雇用の進展が見られています。人材不足もあってか働く意欲のある人が働ける社会になり、厚生年金への加入が進むことも将来の年金給付にプラスに働きます。

年金資産の運用はおおむね好調に推移しました。四半期ベースでは何度かマイナス運用になった時期がありましたが(といっても時価評価が下がっただけです)、トータルでは資産はむしろ増えています。

10年ほど前の雑誌などで、今ごろや近い将来に年金の積立金が底をつくとの年金破綻論もありました。しかし、現実には約160兆円が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に蓄えられており、将来の給付の安定性に寄与しています。

年金制度は安泰か、経済の状況に左右される

年金の数十年先を考えるとき、将来の経済状況をどう設定するかが難しい問題です。雇用の状況、賃金の変化、年金資産の運用結果などいろんな要素が影響してくるからです。

今回の財政検証で示された6つのシナリオのうち、経済成長と労働参加が進むシナリオ(財政検証におけるケースI~IIIにあたり、年0.4~0.9%の経済成長率がある場合)だと、今予定されているマクロ経済スライド(財政健全化のため年金の給付水準を抑える政策)が行われても、2040年代にそれが終わり、以降は所得代替率50%以上が維持されるという結果が出ています。

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