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「並列の陣形」で一緒に進むチームは士気を高めやすい。画像はイメージ=PIXTA

「並列の陣形」で一緒に進むチームは士気を高めやすい。画像はイメージ=PIXTA

上司と部下の関係は常に難しい。「言うことを聞かない」「管理がきつい」と互いの言い分はすれ違う。しかし、『チームを変える習慣力』(クロスメディア・パブリッシング)を書いた三浦将氏は「タテ(上下)の位置取りで考えている限り、事態は好転しにくい」とみる。「脱タテ」の関係づくりに役立つアドバイスを教わった。

管理職世代にタテ社会の名残

社会人類学者の中根千枝が日本的な社会構造を著書『タテ社会の人間関係』で指摘したのは、50年以上昔となる1967年のことだった。上下の序列を気にしがちな日本社会の特質を鋭く突いた。それから半世紀余りの間に「新人類」や「ゆとり世代」が出現した。だが、「大枠ではまだタテ社会の名残が強い」(三浦氏)。とりわけ歴史の長い会社組織では「そう簡単には崩れにくい」。

一方、若い働き手のほうは人間関係に関する意識が様変わりしつつある。「シェア」「きずな」「つながり」などをキーワードに、従来に比べフラットな間柄を求めるようになってきた。仕事に納得感ややりがいを求め、一方的に仕事を上から押しつけられる扱いには不満を感じやすい。「幼いうちから個人として尊重される経験を重ねて、いきなり勤め先で扱いが変わると戸惑ってしまいがち」という。

つまり、上意下達式が一般的だった時代に育った、現在の管理職世代は、自分たちと仕事ポリシーの異なる部下とチームを組む必要に迫られている。「部下が思うように動いてくれずイライラする」というもどかしさは、「自分と同じメンタリティーを無意識のうちに期待してしまっていることが一因」と、三浦氏は見抜く。「笛吹けども踊らず」状態が続くと、リーダーは孤立感を強め自信まで失ってしまう。

「サーバント型リーダーシップ」とは

「リーダー力強化とチームビルディングは今や、企業の最重要テーマになりつつある」と三浦氏は説く。個人で稼ぐ時代は終わり、チームでパフォーマンスを高めるのが、企業の目指すありようになってきた。転職に伴うチームの顔ぶれの流動化が当たり前になり、「ダイバーシティー(多様性)に富むチームを動かすリーダースキルも必須になっている」(三浦氏)。「若手が動いてくれない」と愚痴ってはいられないわけだ。

そこで、三浦氏が提案するのが、「ヨコ型」のリーダーシップだ。肩書をかさに着て、「言ったとおりにやればいいんだ」と押さえつけるのではなく、横のポジションからチームメンバーをサポートする。日本でも関心を集める「サーバント型リーダーシップ」に通じる態度だ。例えていえば、「教壇の上から先生が教えを垂れるのではなく、学生と一緒に車座でディスカッションするようなイメージ」。肝心なのは、むやみに威張らないことだ。

安易な行為を「縦の物を横にする」と形容するが、リーダーの立ち位置は、ある日、急に「タテからヨコへ」変えられるわけがない。三浦氏も拙速な変身を求めない。「1日に1%変わるぐらいの気持ちで十分。チームにプラスの変化がみえてきたら、手応えを確かめたうえで加速すればよい。変化を習慣化して、止めないことが重要」という。

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