ラグビー日本代表がうらやましい

こんにちは。WOMAN SMART編集長の初田です。台風19号の被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

ご無沙汰しているうちに、すっかり秋が深まってしまいました。そんな中で国中を熱狂させたのが、ラグビーワールドカップ(W杯)の日本代表です。何を隠そう、我が家も「にわかファン」の集まりです。日ごろはテレビをあまりつけませんが、大会中は日本代表だけでなく、テレビ放送される試合にくぎ付け。日本代表は強豪を次々破り、ベスト8入りしました。

躍進した代表チームは皆さんご存じのように、様々な国の出身者が集まっています。ダイバーシティーの先進例、日本チームに見習おう、なんて記事を見かけます。日経電子版のコラムでインターネットイニシアティブ (IIJ)の鈴木幸一会長も「ラグビーの代表選手のような形で、生まれはともかくといった国際化を進めたらいいのではないかと思う」とつづっています。

【電子版記事】
ラグビー並みの教育をしてみたい
あたり一面、大きな金木犀(きんもくせい)がまき散らす香りが広がっている。

ダイバーシティーを考える契機にもなっている。スポーツのすばらしさを実感しながら、同時にこんな思いがよぎります。「職場では性別や人種を越えることが、なぜこれほど難しいのだろうか」と。女性が活躍する機会さえ、十分に与えられていません。ある女性の会社員からも、同じような意見が出ました。「言葉や文化の壁を越えてというのは、本当に大変だと思う。それに比べて、世の中の半分は女性。ガラスの天井を壊す方が簡単なはずなのに」

ラグビー日本代表では達成できたのに、職場では……。「リーチマイケル主将のようなリーダーがいない」「周囲のサポートが少ない」など、様々な理由が重なっているのでしょう。私もあれこれ考えてみました。そして、一つの仮説を出しました。「明確な目標が共有されていないことが問題では」

開催国として初の決勝トーナメントに進む。このために、ヘッドコーチらは出身国にとらわれず、必要な選手を選びました。選手たちは苦しい練習を乗り越え、強いチームワークで立ち向かいました。その姿こそが、ラグビーを愛し、楽しむ人々を増やすことにつながるとも考えて。想像で申し訳ありませんが、それほど外れていないはずです。一方、そこまで明確に職場では目標が定まっていない気がします。

では、職場の目標とは何でしょうか。こちらも多様な意見が出そうですが、一橋大学大学院の楠木建教授は企業を取り上げ、「長期利益は経営の優劣を示す最上の尺度である。不変にして普遍の原理原則だ」と述べています(日経産業新聞2015年1月5日付)。ひと言で表すなら「儲(もう)ける」。記事中、パナソニックの創業者、松下幸之助氏が新聞に出した意見広告が出てきます。その一節です。「みなさま、適正な競争で適正に儲けましょう。そして、国を富ませ、人を富ませ、豊かな繁栄の中から、人びとの平和に対する気持ちを高めようではありませんか」。どんな手段を使っても、ではもちろんありません。長期的に利益を生み出すことこそが、顧客にも、社会にも貢献することにつながると楠木教授は解説しています。

すぐにライバル企業が追いつき、追い越してしまう。世界規模で激しい競争が繰り広げられる現代で長期的に稼ぐには、前例踏襲ではダメだと繰り返し言われています。性別や国籍などが異なる、多様な視点で新しい何かを見つけて、技術革新につなげる。そう、ダイバーシティーです。企業もラグビー日本代表にならないと、儲けられないのです。

公務員なら、誰もが幸せに暮らせる社会をつくるということが目標になりそうです。ここでも多様な見方が求められるでしょう。そういえば、10月から幼児教育・保育の無償化がスタートしました。でも、専門家や現場からは批判が多く寄せられています。

【電子版記事】
無償化時代の保育の課題(複眼)
3歳以上を対象とした幼児教育・保育の無償化が10月にスタートした。

さて、政策の決定過程に、どれほどの女性が、ママが関わっていたのでしょうか。

ラグビー日本代表は準々決勝で、2度の優勝経験を持つ南アフリカに敗れました。試合後、小学生の娘はテレビから目を離そうとしませんでした。「南アフリカは強かったね」と声を掛けると、涙声で「うん」。「もっともっとがんばらないといけないんだね」と続けると、顔をこちらに向けず、やはり「うん」とうなずきました。子どもにも立ち向かおうという勇気を与える。父親としても、企業人としても、うらやましいです。

W杯は今日、決勝戦を迎えます。

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