一方、紙面で掲載した記事の3割しか無料では読ませない「三割ルール」を定めていた日経は有料課金モデルの日経電子版創刊へと歩みを進めていく。読売の記事配信を受けて圧倒的なページビューを稼ぎ出し、ポータルサイトとしては一強となったヤフーでは、コンテンツを提供するメディアと収益を分かち合う仕組みを模索する動きまで出てくる。読売、日経に朝日新聞を加えた3社連合によるポータルサイトの立ち上げと閉鎖、モバイルデバイスの登場、米ニューヨーク・タイムズのデジタルシフトなども視野に収めながら物語は進む。

未来の読者を見据えた紙のメディア「読売KODOMO新聞」を創刊した読売、テクノロジー・メディアを目指す日経、メディア企業からデータ企業へとかじを切るヤフー――最後の3章は3社三様の未来への施策がそれぞれつづられる。誰が勝者になるのか、3社三様の勝ち筋なのか、2050年のメディアはようとして見えない。

「大手町は新聞社が多く立地する。店頭に並んだ直後からどんどん売れていった」とビジネス書を担当する西山崇之さんは話す。主役の読売新聞は道を隔てた隣のビルだ。読売のみならずメディア関係者の関心が高いようだ。メディア以外の企業のビジネスパーソンにとっても、デジタル対応や市場の激変にどう対処するかを考える上で示唆に富む読み物になっている。

1位に暗号資産の入門書

それでは先週のベスト5を見ておこう。今回は総合ランキングを紹介する。

(1)THE NEW MONEYジョー・マッケンジー著(かんき出版)
(2)外食逆襲論中村仁著(幻冬舎)
(3)2050年のメディア下山進著(文芸春秋)
(4)月の満ち欠け佐藤正午著(岩波文庫)
(5)政官要覧 令和元年秋号政官要覧社編(政官要覧社)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2019年10月21~27日)

1位は、暗号資産(仮想通貨)の入門書。外食の繁盛店をつくるメソッドを解説した本が2位に入った。3位に今回取り上げたノンフィクション。4位はビジネス書以外からのランクイン。古典ではないのに岩波文庫に入って話題になった17年の直木賞受賞作だ。5位は年2回刊の『政官要覧・秋号』。定番の定期刊行物が発売直後で上位に入った。

(水柿武志)