住宅浸水リスクは自ら点検 不動産会社に説明義務なし不動産コンサルタント 田中歩

台風19号で千曲川の堤防が決壊して大規模浸水した長野市の市街地(10月13日)
台風19号で千曲川の堤防が決壊して大規模浸水した長野市の市街地(10月13日)

2019年は10月初旬の台風19号、下旬の21号とひと月に台風で2度も豪雨に見舞われ、各地に大きな傷痕が残りました。振り返れば、西日本豪雨(18年7月)、九州北部豪雨(17年7月)、関東・東北豪雨(15年9月)、広島での土砂災害が記憶に新しい14年8月の豪雨と、豪雨による災害が毎年、発生しています。そのたびに、洪水ハザードマップに示された浸水地域と実際の被害地域がほとんど同じだったことが分かっています。にもかかわらず、洪水ハザードマップがまだ浸透していない面があると指摘されています。

土砂や津波の災害警戒区域は説明義務あり

地域住民にハザードマップの存在を知ってもらうのは、主に地域行政の役割であると思います。しかし、上記のような豪雨が毎年発生する状態が続くと、宅地建物取引業法における重要事項説明において、ハザードマップで浸水リスクがあるとされる場合、説明を義務化するのも一つの考え方だと思います。

宅地建物取引業法では、住まいの賃貸や購入の際、不動産会社は借り手や買い手に対し、契約締結前にその不動産に関する重要事項について説明を行わなければならないことになっています。例えば、土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に該当する場合には説明義務があります。しかし、洪水ハザードマップで浸水の可能性があっても説明義務がないのが実情です。

もし事前に説明を受けていれば、そこには住まない選択もできますし、住むならば火災保険に水災補償のオプションを加えることを検討したり、これから建物を建てるなら基礎を高くするなどの手を打ったりすることもできます。命と財産を守る意味でも、説明の義務化は検討に値するはずです。

「指定予定」の警戒区域も義務化すべきだ

先ほどお話ししたように、宅地建物取引業法では、不動産会社は土砂災害警戒区域に指定されている場合、買い手に重要事項説明をすることが義務化されています。しかし、問題なのは警戒区域に指定する予定ではあるものの、指定に至っていない箇所が実は多くあることなのです。