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あなたならポン酢はどっち? 黄色かしょうゆ入りの黒

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鍋が恋しい季節となった。鍋に欠かせない調味料といえば、ポン酢である。今回はポン酢といえばしょうゆ入りの黒いものか、しょうゆナシの黄色いものか、黄色・黒ならぬ白黒つけようではないか、という話である。

今年の9月、ポン酢に関するあるツイートが大反響を呼んだ。妻に「ポン酢を買ってきてね。間違えないでね」と言われ、「ぽん酢」を買って帰ったところ「『味ぽん』でよかったのに」と怒られたというもの。

ツイートとともにアップされた画像はミツカンの「ぽん酢」。酢とかんきつ果汁を合わせただけの、しょうゆが入っていない黄色い調味料だ。だが、妻が買ってきて欲しかったのはしょうゆ入りの黒っぽい方。

ネット上では、「間違えないでね」と言われたから間違えずに「ぽん酢」を買ったのに怒られるのは理不尽だ、とツイート主に同情する人が半分。奥さんがいつも使っている調味料もわからないなんて、と妻に味方する声も半分であった。

しかし、このツイートで多くの人が思ったのは、「そうか、いつも自分たちがポン酢だと思って使っていたのは、味つけポン酢だったのか!」ということではないだろうか。いや、しょうゆが入っていないポン酢の存在さえ忘れていた、という人も多かったに違いない。

しょうゆ入りとしょうゆナシ、果たしてどちらがポン酢なのか? 

「ぽん酢」や「味ぽん」を製造販売するミツカンの広報・高市敦子さんによれば、「食品区分では、『ポン酢』は本来、果汁または果汁に酢を加えただけのものを指し、『味ぽん』に代表される、しょうゆやダシが入ったものは『ポン酢しょうゆ』または『味付けポン酢』と呼ぶのが誤解のない言い方となります。しかし、味付けポン酢が日本国内のポン酢消費量のほとんどを占める今、こちらを『ポン酢』と呼ぶのが一般的です」とのこと。

つまり、「食品区分としてのポン酢」と「一般名詞としてのポン酢」が乖離(かいり)しており、そこが話をまぎらわしくさせている。

ポン酢の起源をひもといてみるとさらにまぎらわしい。

その発祥は長崎にあると言われている。長崎では、しょうゆとかんきつのしぼり汁をあわせた鍋のつけだれのことを「ぽんず」と呼んでいた。このときにはまだ「酢」が入っていないから「ぽんず」である。

「ぽん」は外来語の「ポンス」が由来。江戸時代、鎖国していた時期に長崎はオランダと中国と貿易をしており、オランダから伝わったかんきつ果汁入りのカクテルのことを「ポンス」と呼んでいた。それがいつしかカクテルに使われるかんきつのことをそう呼ぶようになったようだ。

「ぽんず」はやがて商人たちによって長崎から大阪へと「てっちり(フグ鍋)」や「水炊き」とともに伝えられた。大阪の庶民の間では特にふぐ鍋の人気が高く、西日本ではもともとかんきつ果汁を刺し身にかけるなど魚に合わせる習慣があったため、てっちりと相性の良い「ぽんず」は大衆料理店の調味料として定着したという。

今でもポン酢の売り上げは西高東低の傾向があり、使う機会も量も多い。関西ではスーパーのポン酢売り場面積も大きく、大手メーカーから小さなメーカーまでさまざまな種類のポン酢を取りそろえているという。関西人はそれぞれにお気に入りのポン酢があると聞く。

ミツカンが「ぽん酢」を発売したのは1960年。それまで、ポン酢という名称は料理店での用語であり、一般的にはほぼ知られていなかった。開発のきっかけは、7代目社長が取引先との料亭での宴会で出されたメニューが「博多水炊き」で、このとき口にしたポン酢のおいしさに魅了されたことだという。

こうして家庭でも簡単にポン酢が使えるようにと発売されたのが、かんきつ果汁と酢を合わせた「ミツカンぽん酢」。冒頭のツイッター主が買って帰ったように、現在まで60年近く続くロングセラーである。

しょうゆ入りが発売されるようになったのは64年11月。「ミツカンぽん酢<味つけ>」として関西で試験販売されたのが最初だった。67年秋には、「ミツカン味ぽん酢」に名前を変えて、全国で発売されるようになったという。

ここまで整理すると、

・食品区分としてのポン酢→しょうゆナシ

・マーケットシェアの大きい方→しょうゆ入り

・発祥の地・長崎での元祖「ぽんず」→しょうゆ入り

・ミツカンの商品名としての「ぽん酢」→しょうゆナシ

ということになる。

元祖「ぽんず」にはしょうゆが入っていたことだし、圧倒的シェアを誇り、一般的にも知られている黒い方を「ポン酢」と認定していいのではないかと思う。ただ、今後、買い物を頼むときには商品名を指定するとか、「しょうゆが入った黒い方」とか「しょうゆが入っていない黄色い方」などと、注文をつけるのがよさそうである。

さて、しょうゆの入っていないポン酢の売り上げをかなりの差をつけて抜き去っているしょうゆポン酢、実は調味料の世界でも「大出世」を遂げている。

ミツカンが2013年1月に行った「家庭における食材在庫率調査」によると、以下の基本調味料が家庭内にあると答えた人の割合は砂糖99.1パーセント、塩99.6パーセント、酢89.8パーセント、しょうゆ99.6パーセント、みそ99.2パーセントであった。それに対して、しょうゆポン酢の在庫率は90.7パーセント。

上に挙げた基本調味料、いわゆる「さしすせそ」の「す(酢)」の在庫率をポン酢はわずかながら超えている。つまり、「家に酢はないけれど、しょうゆポン酢ならある」という家庭もあることになる。

基本調味料と並ぶ存在になったのにはミツカンが季節ごとにメニュー提案をしてきたことも大きいだろう。鍋のつけだれとしてだけでなく、ギョーザやカツオのたたき、焼き魚など「つけて食べる」「かけて食べる」などを提案してきた。野菜炒めの調味料になど「加熱調理」の使用も訴求している。

そのため、売り上げの春夏と秋冬の季節差もなくなってきているという。夏場にサラダのドレッシング替わりに使うなど、春夏(3~8月)の売り上げが伸びており、13年のデータによると、秋冬の売り上げは春夏の1.3倍程度とのこと。鍋のシーズンになると売れるというよりも、今や年間を通じて使われる調味料になった。

しょうゆポン酢の意外な使い方について高市さんに聞いてみた。

「社員は何にでも『味ぽん』を使いますが、最近のヒットレシピは煮物。『味ぽん』と水を1対1で割って煮込んだ『鶏のさっぱり煮』などがおいしいです。そのほか、パスタの味付けや冷たいうどんに使ったりします。これからの季節は、『味ぽん』にチーズを混ぜたつけだれで鍋を食べるのもお勧めです。個人的には、ゆで卵の味ぽん漬けを冷蔵庫に常備しております」

ゆで卵はめんつゆに漬けてもピクルス液に漬けてもおいしい。しょうゆポン酢に漬けておいしくないわけがない。考えてみれば、しょうゆポン酢には甘味・酸味・塩味が入っているので、基本調味料の「みそ」以外の味がすべて備わっている。万能調味料として使えるのも納得である。鍋のつけだれだけではないオリジナルな使い方、あなたも考えてみては?

(ライター 柏木珠希)

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