ノロやインフルも警戒 感染症対策、災害後できることDr.今村の「感染症ココがポイント!」

日経Gooday

浸水被害のあった住宅の災害ごみを運ぶボランティア(10月21日午後、長野市)=共同
浸水被害のあった住宅の災害ごみを運ぶボランティア(10月21日午後、長野市)=共同
日経Gooday(グッデイ)

2019年10月の台風と豪雨は、東日本を中心に甚大な被害をもたらした。災害後は衛生環境の悪化などから感染症の発生リスクが高まるといわれる。そこで特別編として、がん・感染症センター都立駒込病院感染症科部長で、今回の災害を受け自身のツイッターでも「豪雨被災地での感染対策」に関する情報を発信し始めた今村顕史さんの話を基に、被災地における感染症対策を紹介する。被災地・避難所でのボランティアを計画している人もご覧いただきたい。

【ココがポイント!】
●被災直後としばらくたったあとでは、発生しやすい感染症が変わってくる
●家屋や土砂などの片付け作業では、ゴーグルやマスクで目・鼻・口を保護する
●廃材処理などを行う時は、破傷風予防のため厚底の靴・厚手の手袋を
●これからの季節はノロウイルスとインフルエンザにも注意を

時間の経過とともに変わる感染症リスク

Q:災害後は衛生環境の悪化などから感染症の発生リスクが高まるといわれるが、どのような感染症に注意が必要か。

A:今回のような広域災害では、地域によって被害状況や被災後の生活環境などが異なる。そうした中では、それぞれの状況に応じてできる対策を行い、感染症の発生や拡大のリスクを減らしていくことが大切だ。

まず知っておきたいのは、災害が発生した直後と、ある程度の時間が経過してからでは、発生しやすい感染症が変わっていくということだ。

災害の直後は、死亡率の高い「破傷風」のほか、腎炎や肝炎を起こす「レプトスピラ症」、重症の肺炎を起こす「レジオネラ症」といった感染症への注意が必要だ。これらは主に、倒壊した家屋のがれきや流れ込んだ土砂などを処理する際に感染のリスクが高くなる。

従って、片付け作業を行う際には、土壌の中などに潜む病原菌が体内に侵入したり、病原体に汚染された水や土壌と接触したりするのを防ぐために、皮膚に深い傷を負ったり、粉じんを吸い込んだりしないような対策を行う。

例えば、できるだけ肌の露出を避けるように長袖長ズボンを着用する、厚手の手袋をつける、底の厚い靴を履く、目・鼻・口を保護するゴーグルやマスクを着用するなどだ。感染症から身を守るためには大切な対策となる。

山に近い場所で作業する際にも、ダニによる被害予防のために、肌の露出は避けるようにしたい。

土砂の処理や家の片付けなどが進んでくると、災害時の環境などによる感染症のリスクは徐々に低下し、食中毒やいわゆる風邪をはじめとする呼吸器の感染症など、一般的な流行感染症の延長での注意が必要になってくる。特にこれからはインフルエンザやノロウイルスの流行期になるため、そちらへの注意も必要だ。

廃材処理などを行う時は厚底の靴・厚手の手袋を

Q:破傷風は死亡率が高いとのことだが、どんな病気なのか?

A:破傷風は破傷風菌がつくる神経毒素により引き起こされる感染症だ。破傷風菌は空気が嫌いで芽胞という殻の中に入った状態で土壌中に存在し、さびたクギを踏んだ時など、空気の少ない深い傷などで増殖して、強力な神経毒素を産生。潜伏期間(3~21日)の後に、開口障害、痙笑(けいしょう、ひきつり笑いのように見える状態)、後弓反張(えびぞり状態)、全身けいれん、呼吸筋まひなどを引き起こす。

破傷風の予防のため、廃材処理などの作業時には、前述した通り、底の厚い靴、軍手などの厚手の手袋を着用し、深い傷を負わないようにすることが大切だ。また、こうしたリスクの高い場所でボランティアをする予定の人は、あらかじめ破傷風ワクチンを接種しておくことが推奨される。詳しくは国立感染症研究所のサイトの「被災地・避難所でボランティアを計画されている皆様の感染症予防について」のページを参照してほしい。

水があるなら流水での手洗いを

Q:これからの季節気になるインフルエンザ対策として重要なことは?

ウェルエイジング 健康で豊かな人生のヒント