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ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授 (c)Evgenia Eliseeva for Harvard Business School

ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授 (c)Evgenia Eliseeva for Harvard Business School

世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。リーダーシップを研究するエイミー・エドモンドソン教授は、日本企業の終身雇用制にも鋭い視線を投げる。

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佐藤 著書「恐れのない組織:職場に学習力・イノベーション・成長をもたらす心理的安全性の創出(The Fearless Organization: Creating Psychological Safety in the Workplace for Learning, Innovation, and Growth)」では、心理的安全性の創出に成功した企業、失敗した企業の事例が登場します。日本企業の終身雇用制は、心理的安全性の創出にプラスに働いているでしょうか。

過度に不健全な恐れを抱くリスクはらむ

エドモンドソン 終身雇用制はもろ刃の剣だと思います。終身雇用制の会社の経営者や管理職は「私たち社員は家族。人間はミスや失敗をするもの。だから家族が少しぐらい失敗しても許容しよう」と考える傾向が強いですね。こういう企業文化は、心理的安全性の創出に確実に役立ちます。

エドモンドソン教授の最新刊「The Fearless Organization: Creating Psychological Safety in the Workplace for Learning, Innovation, and Growth」

エドモンドソン教授の最新刊「The Fearless Organization: Creating Psychological Safety in the Workplace for Learning, Innovation, and Growth」

その一方で終身雇用制は、社員が過度に不健全な恐れをいだくリスク要因ともなります。不健全な恐れとは、「他人からどう思われているだろうか」を過剰に心配することです。

「私は今後、数十年間、この人たちと一緒に働いていくのだ」と思えば、「その人たちからどう思われているか」を気にするのも無理はありません。そうなれば、自然とリスクをとって挑戦することを回避するようになります。今ここで失敗したら、この先ずっと、「この人はできない人だ」「あのとき周りに迷惑をかけた人だ」という目で見られてしまう恐れがあるからです。

つまり多くの日本企業の経営者や管理職は「終身雇用制はもろ刃の剣である」という現実を理解し、社員が不健全な恐れを抱かずに、建設的な発言ができるような環境を整えていく必要があるのです。

佐藤 日本企業の経営者や管理職が心理的安全性を創出するために、まず何をすべきですか。

なぜ私たちの会社は存在しているのか

エドモンドソン 最も重要なのは、職場における心理的安全性を創出することが、会社の存続・成長にとって不可欠であることを社員に伝えることです。「新しい事業アイデアや改善案があればどんどん提言してください」と言われても、その理由がわからなければ、かえって萎縮してしまうでしょう。

その話の中で、「なぜ私たちの会社は存在しているのか」を社員に問いかけることも効果的です。自分の仕事の価値がわかれば、主体的に仕事に取り組めるようになるからです。

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