新iPadは3万円台 ペンシル対応、新OSでコピペも楽々
戸田覚の最新デジタル機器レビュー
アップルから新しいiPadが登場した。画面サイズが10.2インチのスタンダードモデルで、価格は、なんと3万4800円からだ。新モデルのiPadとしては異例なほどのコストパフォーマンスの高さで、よりiPadを普及させようとしているアップルの力の入れようがよくわかる。Androidタブレットが鳴かず飛ばずで、タブレット市場はiPadが一人勝ちの様相だが、さらに攻勢を掛けようというわけだ。ほぼ同時期に、iPad向けの新しいOSもリリースされ、魅力は大いに増している。
iPadをはじめて手に入れる方、コストを抑えて買い替えたい方には、とてもおすすめのモデルだ。なお、製品名はどの機種も「iPad」だけでわかりづらいので、本記事では違いがわかりやすいように画面サイズを入れて「iPad(10.2インチ)」などと表記する。
やや大きく厚いがさほど重くない
上の本体の写真をご覧いただくと、多くの人が「iPadらしいデザインだ」と思うだろう。iPad Proが狭額縁に変わっているが、それとは一線を画する、旧来からのiPadの流れを引く本体スタイルだ。厚さは本体の面積が同じiPad Air(10.5インチ)の6.1ミリに対して7.5ミリと、少し厚い。手にしてみると、極薄でキレのあるスタイルのiPad Airとは明確な違いを感じるだろう。
とはいえ、並べて比べなければサイズやデザインが古めかしく感じることはないだろう。重量は483グラム(Wi-Fiモデル)と、iPad Airの456グラム(Wi-Fiモデル)と比べてさほど重くないのだ。
ストレージは、32GBと128GBが用意されており、LTEモバイルデータ通信に対応する「Wi-Fi+Cellularモデル」もラインアップし、全4種類となっている。最上位の128GBのWi-Fi+Cellularモデルでも5万9800円とやはりお買い得感は高い。本体カラーは、シルバー、スペースグレイ、ゴールドの3色だ。
性能やカメラはやや落ちるが満足できる
iPad(10.2インチ)のチップはA10を採用している。最新のチップはA12なので2世代ほど古いことになる。ベンチマーク・テストで測った性能値はかなり違うのだが、体感上で遅く感じることはまずないはずだ。ヘビーなゲームなどでは違いを感じるかもしれないが、普通に使っているぶんには、ほとんどストレスにはならない。
ただし、2~3年使い込んでいくと、遅く感じる可能性は低くない。つまり、末永く使いたいなら、上位モデルを選んだ方が良い。とはいえ、価格差は大きいので妥協するのも悪くない。
他のiPadとの最大の違いはディスプレーで、液晶面とカバーガラスが一体加工されたフルラミネーションではないことだ。ガラスと液晶面に隙間がある、やや古い設計のディスプレーだ。斜めから見ると、映像が白っぽく感じる。また、ペンで文字を書くときにずれを感じる可能性もある。とはいえ、それほど大きな隙間ではないので、価格を考えれば妥協できるはずだ。
カメラは、800万画素だがホワイトボードを撮影して記録するような使い方には十分。スマートフォンではないので、画質にはそうこだわらなくてもよいはずだ。
Apple Pencilとキーボードに対応
iPad(10.2インチ)が対応するApple Pencilは、第1世代のもので、別売で1万800円だ。市販の安価なスタイラスとは違って書き味が非常に良く、文字もイラストも快適に描ける。ただし、本気で絵を描きたいなら、フルラミネーションディスプレーのiPad AirかiPad Proをお薦めする。
また、Smart Keyboard(別売で1万7800円)にも対応した。Bluetoothのキーボードではなく専用のコネクターを利用するので、ペアリングなどを考えなくていいのが楽だ。またケースカバーを兼ねているので、持ち歩きにも向いている。
キーボードを利用すると、文字入力がとても楽になる。さらに、スクリーンキーボードが表示されないので、画面が広く使えるメリットも見逃せない。ぜひSmart Keyboardを手に入れて使っていきたい。
新OSで機能が大幅向上
冒頭で書いたように、iPadに新しいOSが採用された。機能アップした点は数多いのだが、注目したいのがマルチタスクがさらに使いやすくなったことだ。
ブラウザーのSafariでは、複数のページをポップアップウインドーの「Slide Over」や画面分割の「Split View」で利用できる。読みたいページをどんどん開いておき、後でじっくり読むような作業が手軽にできる。
また、メモをSlide Overで開いておき、他のメモやブラウザーのテキストや写真を簡単にコピーできるのもうれしい。
すべての機能は書ききれないが、より使い勝手が向上し、仕事やプライベートに大いに役立つようになった。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
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