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老舗はいつも新しい なだ万が描く創業190年の先

なだ万 野原優社長(上)

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NIKKEI STYLE

2020年に創業190周年を迎える老舗料亭なだ万。江戸時代後期、初代・灘屋萬助が大阪で開いた料理店が長い歴史の始まりだ。14年にはアサヒビール傘下となり、新しい船出をした。今や国内外にレストラン32店舗、国内に総菜店41店舗を展開する大手外食企業であるなだ万。料亭の老舗は、今後どのように未来を描いていくのか。アサヒビール出身者として初めて社長に就任した野原優社長に話を聞いた。

――2017年に社長に就任されました。なだ万をどのようにとらえているのでしょう。

なだ万には、190年の歴史があります。はやりすたりの非常に激しい外食産業にあって、脈々とこれだけ長い間、店を守り続けているのはすごいことです。なだ万の社是は「老舗はいつも新しい」。伝統を守るだけでなく常に新しいものを取り入れ、時代時代のお客様のニーズをとらえていることが、長い年月支持されてきた理由でしょう。

なだ万では、30年以上にわたり2カ月に1度、全国の調理長が集まって料理会議をしています。毎回3~4店が当番となり、それぞれの店の調理長が先付けから最後のシメのご飯まで7品ほどのコース料理を作って説明する。どのように作るのか、食材はどこで仕入れているのかなどと、先輩後輩の垣根を越えて熱心な討論を行う。こうした努力が各調理長の高い技術レベルを維持しているのだと思います。

なだ万の料理で特に驚いたのは、器です。器が非常に大事だということは、こちらに来てよく分かりました。初めて料理が器で輝くと実感したのが、カニとトマトのサラダです。フルーツトマトと毛ガニを交互に重ね盛りしたシンプルな料理で、ユニークな形の涼やかなガラスの器に盛って出す。名物料理の一つですが、器ととてもよく調和していて、一層おいしく感じたことを覚えています。

――社長に就任される前、いわゆる高級料亭についてどのように思われていたのでしょう。

実は、少し敷居が高い場所だと思っていました。ビール会社とお付き合いがある代表的な飲食業態は焼き鳥、焼き肉、中華です。また、高級料亭で一番よくでる飲み物はビールではなくてワインなんです。そのため、なだ万も大切なお客様の接待で利用したことはありましたが、家族とプライベートで訪れたことはありませんでした。

ところが、なだ万にも色々な業態があることを、アサヒグループに入ってから知りました。ホテル店もあれば、デパートに入っている店もある。新宿の小田急百貨店には、「新宿 なだ万賓館」という店がありますが、一般の席の他に、おすし、天ぷら、鉄板焼きのカウンター席コーナーがそれぞれあって、価格もホテル店のように高くない。若い頃、こうした店を知っていたらうまく利用できたのではないかと思いました。

なだ万は、どうしても高級料亭というイメージが強すぎる。だから、なかなか若い人に利用していただけない。新しいお客様層を獲得するために、もっと若いお客様にも、色々な店があるのだと知っていただくようにしなければと考えています。

――新しい取り組みも始められています。

なだ万は基本的に各店の調理長がメニューを決めます。食材は全国各地で地場のものを使う。多店舗展開する外食企業はセントラルキッチンを設置するのが一般的ですが、コストが余計にかかっても、お客様にも喜んでいただける方を優先してきました。

ただ、新しい発信も必要です。昨年からは「都道府県別 産直フェア」として期間限定の全国統一コースメニューを始めました。フェアでも食材の調達は各店で行いますが、献立は総料理長を中心に本部で決めています。

第1回目は昨年11月、創業者・灘屋萬助の出身地、長崎の料理をお出しした。同地の食材を使い、なだ万流に郷土料理をアレンジしてコースに仕立てたものです。中には、なだ万名物の豚の角煮も組み込みました。中国料理のトンポーロウが元になったしっぽく料理(中国風の食事形式を取り入れた長崎の名物料理)の一つです。

初回は原点に立ち返った料理を意識しましたが、日本の料理の魅力を発信し地域活性化にもつながる取り組みとして、各地の料理を取り上げ年2回ほどでシリーズ展開しています。

また、今年からは高級食材をふんだんに用いた期間限定メニューを始めました。料亭が出す料理は「懐石料理」などと呼ばれますが、それでは内容がイメージしづらい。だから、お客様に分かりやすくアピールができる食材を使おうと考えました。

第1回は、7月限定コースとして全店共通で提供した「松阪牛と夏の贅沢三昧」コースです。松阪牛をはじめ、ウニ、トリュフ、フォアグラ、ハモ、カニなど、誰もがよく知る高級食材を集め、コース料理に仕立てました。

このコース、最後のお食事は選択制でトウモロコシとトリュフの炊き込みご飯と、松阪牛を使った特製カレーの2択にしたところ、意外なことにカレーの評判がすごくよかったんです。店によっては、トリュフご飯よりカレーの方が出たぐらいなんですよ。

――なぜカレーを料亭のコースに組み入れようと考えられたんですか?

実はカレーは、当社のカジュアル業態である「ジパング」の赤坂店のメニューにあった料理なんです。ここで使用しているのは銘柄牛ではありませんが、総料理長が考えた、なだ万ならではのだしの効いた一品です。そこでこれを広めたいと思い、今年1月にレトルトパックにして発売しました。さらに今春には、銀座三越の期間限定イートインイベントに出したんです。そこでご好評をいただいた。それが、7月のコースでの採用につながりました。今、仙台の店では地元食材の仙台牛を使いこのカレーをランチに出していて、大変評判がいいそうです。

僕は、何でもいいから新しいことをどんどんやってほしいと現場に伝えているんです。

先日、ある外食企業の社長とこんな話をしたんです。「アパレルはオンラインにやられてしまうけれど、私たちはちゃんとモノを出しているから、店に来ていただける。ありがたいことだよね」と。

現在売り上げの6割を占めるレストラン事業では、お店に足を運んでいただいて、できたての料理を食べていただくことが基本になる。いくら世の中の仕組みが発達しても、侵食されない領域だと思っています。それでも、オンライン化の波にはあらがえない面もある。当社は総菜・弁当の部門もありますから、そこではオンライン販売にも力を入れていきたいと思います。

――次回は海外の店舗や総菜店の「なだ万厨房」の展開について伺います。

野原優(のはら・まさる)
東京生まれ。80年早稲田大学法学部卒業、同年アサヒビール入社。97年東京支社吾妻橋支店支店長、01年ワイン部部長。02年首都圏広域支社支社長、09年執行役員広域営業本部本部長兼量販統括部部長、13年アサヒ飲料常務執行役員、15年アサヒビール常務執行役員営業本部副本部長。17年なだ万代表取締役社長。社団法人日本ソムリエ協会認定ソムリエの資格も持つ

(フリーライター 大塚千春)

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