夫婦でタッグ 65歳超えてもあきらめない年金上乗せ

厚生年金は70歳まで加入して働くことができ、年金額が増える
厚生年金は70歳まで加入して働くことができ、年金額が増える

公的年金の財政検証は将来もらう人に先細りの未来図を示したが、すでに年金をもらっている人も当面は金額が低く抑えられる状況が続く。支給を調整する仕組みが働いて、物価よりも年金額の伸びが小さくなるからだ。年金の価値が目減りする中で受給者らができる対策はあるのだろうか。

特例ルールで年金増えにくく

「ものの値段は高くなったけど年金がそれほど増えないのはなぜ?」。社会保険労務士の望月厚子氏は年金暮らしの女性からこんな質問を受けた。少子高齢化が進むのに応じて年金を抑える仕組みがあると説明すると「これからは物価が上がっても、それと同じぐらいの年金はもらえないのね。節約しないと老後が心配」と話していたという。

政府は8月公表の年金財政検証で長期的な支給見通しを示した。高齢ですでに年金をもらっている人が気にするのはむしろ当面の予想だろう。1カ月に使えるお金の額や、それでどれぐらいのものが買えるかといったもっと身近なことだ。

2019年度の年金額改定では前年度比0.1%のプラスとなった。増額は4年ぶりだが、わずか0.1%では実感は乏しい。本来はもっと増えるはずだったが、いくつかのルールが働いて金額が削られた。

年金はいったんもらい始めるとその後は物価に連動して額が増減する、というのが2000年に決まった原則だ。ただ04年に特例ルールを導入。経済環境によっては現役世代の賃金動向に合わせることにした。

特例ルールは複雑だが全体として年金は増えにくくなった。例えば物価が上がっても賃金がマイナスになれば年金額は据え置かれる。物価が大幅に上がっても賃金が小幅上昇にとどまれば賃金の方に連動する。特例導入後15回あった改定のうちルール上、9回は据え置きか賃金連動だった。

「20年度もスライド実施」

これだけでも物価より低くなりがちだが、さらに「マクロ経済スライド」が加わる。保険料を負担する現役層が細り年金をもらう高齢層が増える人口動態を映して年金を抑制する仕組みで15年度に初めて実施された。19年度は本来の年金改定率が0.6%(賃金連動)。ここから経済スライドに伴う「調整率」を差し引いて年金額は0.1%増にとどまった(表B)。

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