「国家公務員だった父が私にいつも言っていたのは、勉強して得た知識は決して誰にも奪われないということ。だからしっかり勉強しなさいと。周囲に甘えず勉強する環境を整えるという理由で、小学4年生から中学生のころは実家から離れた田舎の親戚宅に預けられたりもしました」

「ところがマリの首都バマコの高校1年生の1学期、気づいたら成績が37人中35番目でした。これは大変だと思いましたね。だいたい同級生はみんな優秀だし、もうやってられへんなと」

バカロレア受験へ友人らと勉強グループ

父親からはいつも「勉強して得た知識は決して誰にも奪われない。だからしっかり勉強しなさい」と言われていた(左は妹)

「本当のエリートなら家庭教師でもつけて勉強させられるのでしょうが、うちはそうではなかった。その代わりに、私は勉強のグループを作ったんですよ。マリはフランスの流れをくむ教育システムの国なので、高校を卒業するときにバカロレア(大学入学資格試験)を受けます。その準備をしようと、友達を誘って放課後に毎日、一緒にバカロレアの過去問題を勉強するようになりました」

――毎日ですか。

「平日は学校で、週末は金曜日に学校が終わったら私の家にみんなを連れてきて、日曜日までずっと泊まりがけで勉強です。母には迷惑かけましたねえ。男子が何人も泊まり込むもんだから、1日3食ずっと用意してくれてね。そのうち、私がいないときでも私の家に仲間が集まるようになったけど、それでも母はずっとご飯を出してくれました」

互いにどう高め合うかを最優先に

「みんながお互いに知っていることを教え合って、すごく時間を有効に使っていました。数学を2時間やったら次は哲学のディスカッションをしてといった具合に、それぞれの得意分野をお互いに学び合いました。このとき一緒に勉強した人たちの中には、役所の局長とか大臣になった人もいます。お互いどう高め合うか。それだけを最優先にしていました」

――人から聞く姿勢はここからですか。

「フラットに学び合い、わからないことは聞くという姿勢は、ここが始まりだったように思います。私は常に何かグループを作っているんです。なぜかいつも私がコーディネーター役になる。京都大学大学院に留学していたときには、留学生を支援する組織をつくりました。650人ほどの組織になりました」

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