街でも人気「ハードシェル」 狙いは防水&ストレッチ
この冬注目のオンオフ兼用アウター
そろそろ本格的なアウターが欲しくなる季節。コストパフォーマンスも考慮するなら、オンオフ問わず着られるものが望ましい。そこで、今年注目のオンオフ兼用アウターを、タイプ別に3回にわたって紹介する。前回「流行関係無しの大定番 10年着られる英国コート3選」ではビジネスに重点を置き英国コートを紹介したが、今回取り上げるのはオフを中心に活躍するアウトドアブランドのハードシェルだ。
ハードシェルとは、主に雪山でのアウトドアアクティビティーで、一番外側に着ることを想定して作られたジャケット。悪天候にも耐えられるように丈夫な素材で作られており、防水透湿性が高い。アウトドアウエアが街着として浸透した現在は、レインウエアや秋冬のアウターとして多く用いられている。今回は、防水性に加えてストレッチ性も備えた、タウンユースとしても使えるハードシェルを3つ紹介する。
中綿入りで保温性も高い/カリマー
英国発のアウトドアブランド「カリマー」から、タウンユースとアウトドアユースをクロスオーバーするモデルとして、19年秋冬シーズンに登場。機能性を高めながら、着心地の良さにもこだわっている点が特徴だ。
素材には、耐水性・ストレッチ性に優れたカリマーのオリジナル防水透湿素材「weathertite」を採用。表地だけでなく、内側にも2Wayストレッチ素材を使用しているため、アクティブな動きにも対応する。さらに、ストレッチ性を持つ中綿素材を封入することで、動きやすく保温性に優れた1着に仕上がっている。
ヘルメット対応の大きなフード、内側のウエストにスノーガード、グローブをしたままでも扱いやすい大きめのフロントフラップ、クリアータイプのチケットホルダーなどを搭載。これらのディテールから、スノーアクティビティーでの使用を想定していることが分かるが、グローブやゴーグルまで入る大容量のフロントポケット、内側のインナーポケットなどの装備は、街着としても非常に便利。
18年に発売された前モデルも継続して販売されており、30~40代男性から支持され、店頭では売り上げ好調だという。「昨年を振り返ると、ECサイトで10月ごろから売り切れが続出した」と話すのは、カリマーインターナショナル広報の平野咲氏。今回の新作にも注目が集まっているという。
生地の柔らかな風合いも魅力/ミレー
フランス生まれのアウトドアブランド「ミレー」が独自開発した日本製の生地素材「ドライエッジ ティフォン 50000」を使用しているジャケット。この製品の初代モデルは2015年に発売され、その後も改良を繰り返しながら販売されている。
耐水圧は20000mm以上、生地表面には耐久はっ水加工が施されている。そう聞くと内部に熱がこもるのではと思うかもしれないが、一般的なレインウエアをはるかに上回る透湿性能を備え、汗をかいても蒸れにくく、快適に行動できるという。
なかでも注目したいのが、柔らかな生地の質感。低温下での使用を想定したアウターや従来のレインウエアの印象を覆す、軽くて柔らかな風合いで、電車でも街中でも違和感なく着られる。さらに裏地に、起毛したトリコット素材を採用。暖かく心地よい肌触りを実現した。
この柔らかな生地に加え、立体裁断と生地自体のストレッチ性により、腕を上げた時の突っ張り感などが軽減。スキーなどのスノーアクティビティーに対応するのはもちろん、日常の動作を妨げない、タウンユースでも活躍する1着に仕上がっている。
「昨年同期間の売り上げに比べ、約1.5倍と好調に推移している」と話すのは、ミレー・マウンテン・グループ・ジャパンのシニアブランドマネージャー、桜井久男氏。「秋冬のトレッキングなどアウトドア着用時の快適性を目指して開発したものだが、実際の購入者の半数以上はマルチユースのユーザー」。街着・トラベル使いと、アウトドア用途の兼用を目的として購入する人が多いという。
伸縮性のあるゴアテックス/ザ・ノース・フェイス
素材に、3層構造の「ストレッチ ゴアテックス C-KNIT」を採用したレインウエア。4方向のストレッチ性を備えた表地に、言わずと知れた防水透湿素材ゴアテックスをプラス。C-KNITは裏地を指し、従来のコーティングではなく編み地のニットを採用しているため、肌当たりがよく、また肌離れしやすい点が特徴となっている。
「スーパークライムジャケット」というモデル名の通り、岩稜(がんりょう)歩きや、ロープも使うようなクライミングでの着用を想定して作られており、素材のストレッチ性に加えて、独自の立体パターンで設計されているため、非常に動きやすい。
ハーネスを着用していても開閉しやすいフロントポケット、片手で調整できるヘルメット対応のフードと前襟など、クライミングに対応できるディテールを採用。裏地が黄色なのも、山で遭難した際に裏返して旗のように振ることで、救助隊の発見を促すよう想定しているという。
「防水性が高く動きやすいため、トレッキングやクライミングを楽しむユーザーから支持されている」(ゴールドウイン ザ・ノース・フェイスPRの鰐渕航氏)。街着としてはオーバースペックともいえる機能を持つが、雨天時に使用することを想定しているため、携帯性を考慮した軽量でコンパクトな作りとなっており、街着としてもいざというときのレインウエアとして幅広いシーンで活躍するだろう。
(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)
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