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世界トップクラスの経営大学院、ハーバードビジネススクール。その教材には、日本企業の事例が数多く登場する。取り上げられた企業も、グローバル企業からベンチャー企業、エンターテインメントビジネスまで幅広い。日本企業のどこが注目されているのか。作家・コンサルタントの佐藤智恵氏によるハーバードビジネススクール教授陣へのインタビューをシリーズで掲載する。5人目は、エグゼクティブプログラムでイノベーションマネジメントを教えるステファン・トムケ教授だ。

(中)米IT大手は実験で進化する ハーバードが考える王道 >>

佐藤 2018年に「ソニー株式会社」が初めてハーバードビジネススクールのケース(教材)になりました。それまでソニーの製品や関連会社を取り上げた教材はありましたが、ソニーという会社そのものについての教材はありませんでした。トムケ教授はなぜソニーの教材を書きたいと思ったのですか。

役員自らの言葉もとに教材執筆

ハーバードビジネススクール教授 ステファン・トムケ氏

ハーバードビジネススクール教授 ステファン・トムケ氏

トムケソニーは誰もがその製品を知っている会社であり、この会社についての教材がハーバードにないこと自体が驚きでした。ソニーは伝説的な製品をいくつも世界に送り出した日本企業です。私の子ども時代を振り返ってみても、まわりはソニーの製品ばかりでした。ウォークマンは革新的なポータブルオーディオプレーヤーでしたし、トリニトロンテレビは最高の技術を誇るテレビでした。

このようにソニーには世界を変えてきた豊かな歴史があるのにもかかわらず、実はソニーの経営については、公になっている記録が少ないのです。特に近年のV字回復の過程についてはあまり知られていません。そこでソニーの現職役員、当時の役員を直接取材し、自らの言葉で語ってくれたことをもとに教材を書きたいと思いました。

この教材を執筆するために最初に取材を依頼したのは、ソニーが業績を回復させることを最優先事項として取り組んでいた時期で、取材が実現するまでには長い時間を要しました。私の取材を受けてくれたということは、ソニーが自らの歴史について語る準備ができたことの証しであり、当時最高経営責任者(CEO)であった平井一夫氏(現シニアアドバイザー)の社内外に対して会社の透明性を重視した姿勢のあらわれでもあると感じました。

教材にはできるだけ多くのインタビューコメントを掲載しました。ソニーは上場企業ですからIR資料を読めば会社情報がわかりますし、新聞、雑誌などでも数多くの記事に取り上げられています。ところが実際に社内の方々に直接インタビューしてみると、私自身も知らなかったことがたくさんありました。それがこの教材の価値であると思います。

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