定年夫が家でゴロゴロ それでも妻に嫌われない理由経済コラムニスト 大江英樹

私の先輩で定年退職した後に一切働かず、家で株式のトレーディングをやっている人がいます。彼は退職した際、奥さんに「今までありがとう。これからはずっと家にいるから、三度の食事は僕がつくる」と宣言し、日中に株式相場が開いている時間はインターネットの画面を見つめて株を売買し、取引時間が終われば食事の用意をするそうです。先輩は外に出かけなくても「株のトレーディング」という居場所を自分でつくり、家に居ながらにして「料理をつくる」という家族のために役に立つ仕事をこなしているのです。

たまたま彼の場合は株式投資でしたが、別に読書でもテレビやビデオを見ることでもかまいません。料理をつくるのが嫌いであれば、無理をしてやる必要はありません。掃除をするとか洗濯をするといった様々な家事を妻と分担してやってもいいし、2019年5月30日付の当コラム「やってるのに妻不満 夫婦のズレ生む『名もなき家事』」でも書いたようにほんのちょっとしたことをするだけでも、妻との関係は良くなると思います。家でゴロゴロしていても、妻に何でも頼るのではなく、自立していれば奥さんにもそれほどストレスがたまることはないでしょう。

以前、ある会合でご一緒した女性は定年を迎えた夫についてこんなことをつぶやいていました。「子供は成長すると大人になるけど、夫はいつまでたっても大人にならないのよね」。この言葉は私の胸にもグサッと突き刺さりましたが、世の多くの妻にとってこれは恐らく偽らざる気持ちなのでしょう。もちろん妻に頼り切りではない男性もいるかとは思いますが、定年後に妻と良好な関係をたもつためには自立した大人であり続けたいものです。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は11月14日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年3.0 50代から考えたい『その後の50年』のスマートな生き方・稼ぎ方」(日経BP)、「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(同、共著)など。http://www.officelibertas.co.jp/
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし