安定が実は苦痛 優秀なのに大企業を辞めた若手の本音20代から考える出世戦略(70)

A君は先輩にこう言われたそうです。

「この時代に新卒でうちの会社を選んだということは、良き官僚になるか、あるいは30年かけて改革を目指すか、どちらかの道を選んだということだよな。その覚悟はあるか?」

A君が入社したインフラ企業は、様々な制度が整い、企業の将来性も確保されたとても良い会社です。けれどもA君は先輩の言葉に、自分がやりたかったことに気づいたそうです。それは時間をかけて成長することではなく、リスクをとってでも早く成長することだと。

インフラ企業は、安定を前提とした組織と人事の仕組みが整っていました。だからこそ、この会社にいてはいけない、と感じてA君は転職を選びました。

任されるよりも尊敬できる相手が欲しい

B君は大手メーカーで期待され、多額の予算も用意された研究者でした。

けれども彼は転職するときに本音を語ってくれました。

「尊敬できる研究者と働きたかったんです。このメーカーならそんな人がいると思っていました。実際に優れた特許を取っている人も何人かいましたから」

だったらその人たちと一緒に働ける状況が良かったのでは、と尋ねたら彼は首をふりました。

「100人近くもいる研究者の中で、尊敬できる人はほんの数人だけでした。後の人たちはむしろ、自分たちの研究成果を理解しない経営層の愚痴を言ったり、安定的な給与にあぐらをかいて怠けていたりするような人たちに見えました。本当はそうじゃないかもしれませんが、僕にはそう見えました。そして、この組織に居続けると、僕もそうなってしまいそうでとても怖くなったんです」

彼もやはり、自分が最初に入った会社についてはとても良い会社だったと断言しました。 ただ、自分には合わなかっただけだと。

良い会社なのに、優秀な人が辞めてしまう。そんなギャップが生まれる理由の一つに、活躍したい方向性の相違があります。

会社の人事は、会社の目指す方向性にあわせて設計されます。けれどもその方向性が自分自身にあったものなのか、あらためて確認してみてはいかがでしょう。

それはたとえば「当社の求める人材像とはどういうものでしょうか。できればそれを体現している人に会わせていただけませんか?」という質問で確認できたりします。

平康慶浩
セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

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