安定が実は苦痛 優秀なのに大企業を辞めた若手の本音20代から考える出世戦略(70)

そんな彼らは、辞めるときに不満を言いません。むしろとても良い会社に参画させてもらった、と感謝を口にしながら辞めてゆきます。会社の評判サイトにももちろん「良いこと」ばかりを書いています。

皆さんの周りでも、期待されているのにあえて転職していく友人や知人がたまにいるのではないでしょうか。

さて、ではこのような会社は良い会社だと考えてよいのでしょうか。

人事部門から制度と運用の実情を確認していくと、必ずしも「良いこと」ばかりではない事情が見えてくることがあります。

辞めた優秀者は何を求めていたのか

最初にあげたインフラ企業を辞めた優秀な若手をA君としましょう。

彼は、まずITベンチャー企業に転職しました。営業兼事業企画として入社し、エンジニアと密接に連携しながら、新しいサービスの開発を行いました。

やがて3年ほどの実績を踏まえ、自分で起業しました。最初は小さなビジネスで黒字を積み上げていきましたが、自分自身も手を動かして開発したあるサービスが伸び、資金調達にも成功しました。現在もまだ10億円規模ではありますが、サービス拡大に向けて全力で走っています。

大手メーカーを辞めた研究者をB君としましょう。

彼は、小さめですがより範囲を絞った研究専門の会社に転職しました。そこでトップクラスの研究成果を持つ経営陣にしごかれながら、研究内容をサービスに転用していくための経験を積みました。そしてチームでいくつかの特許を取得し、それらの特許を製品化するための営業活動も行った結果、世に出るサービスとして完成させました。

安定を苦痛に感じることもある

A君はインフラ企業に就職した当初、自分のやりたいことをあまりわかってなかったと言います。ただ、優秀な人材がたくさん集まる環境に身を投じていけば、おのずと次に進むべき道も見えてくるだろうと考えていました。就職せずに起業を選ぶ友人も数人はいましたが、それはリスクが高すぎるとも感じていました。

そんなA君に対して、インフラ企業の人事が求めてきたのは、しっかり学びながら成長することでした。

将来の役員候補なのだから、まずは社内の序列を理解するように。そして目の前の評価基準をしっかり理解して、それに沿った段階的な成長を目指すように指導がされました。

当初はそれらの指導にしたがっていたA君ですが、10年後の自分がそうなるであろう30代前半の優秀な先輩に出会って気が変わります。

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