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クー・マーケティング・カンパニー代表取締役の音部大輔氏

クー・マーケティング・カンパニー代表取締役の音部大輔氏

マーケティングのデジタル化が進む中、リアルに人が集まるイベントの発信力が見直されている。顧客の満足を最大化するカギは「一期一会」の場で心を動かしてもらうストーリーの提供だ。良質のイベントは、SNS(交流サイト)での拡散を通じて参加者の何千倍もの人々へと感動がシェアされることもある。10月に都内で開かれた催しから、マーケティングにおけるイベントの新しい役割を探った。

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今回の催しは「NIKKEI STYLE『だからマーケティングは面白い』スペシャルライブ!」として10月18日に東京ミッドタウン日比谷(東京・千代田)で開かれた。日本経済新聞社と同社が出資するイベント企画・運営のイベントレジスト(東京・渋谷)が主催した。はじめにクー・マーケティング・カンパニー(東京・渋谷)代表取締役の音部大輔氏が「パーセプションを変える マーケティングにおけるイベントの役割とは?」と題する基調講演を行った。その後、企業のマーケティング担当者やイベントの専門家らが討論した。

「誰と一緒に参加するか」が重要

「イベントでは、誰に会いに来るかだけではなく、誰と一緒に来るかが重要になっている」。音部氏は、企業のブランドを発信するという視点から「イベントのあり方が大きく変容してきた」と指摘する。SNSが普及するにつれて、消費者やビジネスパーソンは「家族」や「友人」「職場の上司」など身近な人間関係を改善してくれる体験を好むようになってきたという。

BtoB(企業間取引)の場合、従来は短時間にたくさんの人と会い、効率的に話ができる展示会や商談会にメリットを感じる人が多かった。「交換した名刺の数が多いほど満足度が高い」という発想だ。しかし最近は、初対面の人と出会うことよりも、自分の周囲の人との関係を重視する。例えば、上司や同僚、クライアントと一緒に参加してもらい、そこで楽しい体験や達成感を共有してもらうことができれば参加者の心は動く。

イベントを主催する側がこうした風潮を生かすためには「ユーザーがノンユーザーを連れて来る」というような仕掛けを意識することが大切になる。「ロイヤルユーザーが、意思決定者(上司など)を連れてくる」「ノンユーザーがユーザーに会う」という場が設定できれば、商品やサービスの情報がより有効に発信されるだろう。

音部氏は「一緒に過ごす時間を充実させるには、イベントにストーリー性を持たせることが重要になる」と説く。「一緒に学ぶ」「一緒に楽しむ」といったプロセスを演出できるかどうかが成否のカギを握るようだ。

「頼み上手」と「社内人脈」が大切

基調講演に続いて、「イベントを用いた潜在顧客との関係構築」をテーマにパネルディスカッション1部が開かれた。アドビシステムズの前田龍マーケティングマネージャーと、トレジャーデータの小林広紀マーケティングマネージャーが、それぞれイベントへの取り組みを紹介した。

前田氏はアドビが開催している年次マーケティングカンファレンス「Adobe Symposium(アドビシンポジウム)」の責任者を務めている。2019年には来場者を2300人集めた一大イベントだ。情報発信力も極めて強く、SNSを通じたソーシャルリーチは約200万に達している。「カンファレンスが終わった次の日から、翌年の準備に入る」と話す前田氏は、事前準備で大切なことの一つとして「社内人間関係」を挙げた。「登壇者に依頼するとき、どんなメリットがあるかを説明することが重要になる。やっぱり、頼み上手は得です」と強調した。

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