ポルシェ初のEV「タイカン」 加速力に最上の快適さ

2019/11/10
ポルシェ初の電気自動車「タイカン」を欧州で試乗した(写真:ポルシェ、以下同)
ポルシェ初の電気自動車「タイカン」を欧州で試乗した(写真:ポルシェ、以下同)
webCG

ポルシェ初のピュア電気自動車「タイカン」に試乗。オーストリア・インスブルックからドイツ・ミュンヘンまでの約635kmの道のりで、新世代のパワートレインを手にした“最新のポルシェ”は、どんな世界を見せてくれたのだろうか。

下された“ミッション”

それは長い旅だった。

ポルシェは2015年のフランクフルトショーで初のピュアEVとなるコンセプトカー「ミッションE」を発表する。量産されれば世界初となる800V系の駆動システムを有するほか、600PSを上回るパワーと500kmを越す航続距離、3.5秒を切る0-100km/h加速タイムなどのターゲットがこの時点で示された。

発表からわずか3カ月後の2015年12月にポルシェの経営陣は“ミッションE”の量産化を決定。2018年には量産モデルの名称がタイカンであり、2019年より生産が開始されることが明言される。

実は、われわれメディア関係者にとっても国際試乗会に参加するまでの道のりは長かった。2019年8月のテクニカルワークショップ(中国・上海)、9月のワールドプレミア(中国・福州)を実施した後、9月下旬ないし10月上旬にヨーロッパで試乗会が行われることがあらかじめ告げられていた。この間、私たちはタイカンへの期待を高めつつ、ジリジリするような思いでそのステアリングを握る日がやってくるのを待っていたのだ。

全長×全幅=4963×1966mmというフットプリントを誇る「タイカン」。「パナメーラ」より全長こそわずかに短いものの、全幅では31mm上回っている
リアまわりでは、ルーフの下がったスタイリングや左右のコンビライトを結ぶLEDストリップなどで既存のモデルとの共通性を表現している

もうひとつ興味深いのが、今回の試乗会がポルシェにとっても長丁場であった点にある。ツアーの一行は9月半ばにノルウェーのオスロを出発。9つの国をまたぎ、18日間かけてドイツ・シュトゥットガルトにゴールするという行程で、総走行距離は6440kmに達する。これを11の日程に分割し、さまざまな国から招いたメディア関係者に試乗させるというのがツアーの全体像なのである。

そしてわれわれ日本チームには、このうちオーストリア・インスブルックからドイツ・ミュンヘンまでの635kmを9月30日と10月1日の2日間で走破する“ミッション”が与えられた。

「ターボS」と「ターボ」との違い

試乗会に用意されたのは「ターボS」と「ターボ」の2グレード。装着タイヤは、ターボSが21インチの「グッドイヤー・イーグルF1アシンメトリック3」、ターボが20インチの「ミシュラン・パイロットスポーツ4」だった。ブレーキは、キャリパーがフロント:10ピストン、リア:4ピストンとなるのは共通ながら、ディスクはターボSがセラミックコンポジット(PCCB)でターボがサーフェイスコーテッド(PSCB)と差がつけられる。オーバーブースト時の最高出力はターボS:761PS、ターボ:680PSとなるものの、通常時は625PSで同一。試乗会の運営スタッフからも「ターボとターボSとの差はまずわからないはず」と予告されていたが、タイヤとブレーキの違いを除けば、動力性能を含めて両グレードの差はまったくといっていいほど感じられなかった。

「タイカン」は前後アクスルにそれぞれモーターを搭載。「ターボ」「ターボS」では、通常時はシステム最高出力625PSを発生する

そこで先にタイヤとブレーキの印象について述べれば、ハーシュネスは21インチのイーグルF1でも不満に思わなかったが、やはり20インチのパイロットスポーツ4のほうが当たりは柔らかくて快適。路面上をスムーズに転がっていくという印象でもミシュランがグッドイヤーを大きくしのいだ。グリップ限界が近づいたときに早めにそのことを知らせる特性に関しても、例によってグッドイヤーよりミシュランのほうが良好だった。

ブレーキは、ストローク初期における減速Gの立ち上がり方がターボSはやや神経質で、ターボのほうが穏やかに感じられたが、タイカンは0.4Gまでの制動を回生ブレーキのみで行うため、これがブレーキディスクの特性をそのまま反映したものかどうかは不明である。

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