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手書きの店頭販促(POP)をつけて書棚端の平台に展示する(三省堂書店有楽町店)

手書きの店頭販促(POP)をつけて書棚端の平台に展示する(三省堂書店有楽町店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に一度訪れる準定点観測書店の三省堂書店有楽町店だ。消費税が上がって3週間あまり、同店ではキャッシュレス決済のポイント還元を実施しているため、定価販売される書籍が20年6月までなら実質5%安く買える。この施策もあって、ビジネス書の売り上げに大きな変化は出ていない。そんな中、書店員が注目するのは、仕事における礼節の効用とその高め方を具体的に説いた翻訳書だった。

「職場の無礼」研究に人生捧げた著者

その本はクリスティーン・ポラス『Think CIVILITY(シンク・シビリティ)』(夏目大訳、東洋経済新報社)。CIVILITYとは礼節とか礼儀正しさを指す英語で、副題には「『礼儀正しさ』こそ最強の生存戦略である」とある。著者のポラス氏は米ジョージタウン大学マクドノー・スクール・オブ・ビジネスの准教授。活気ある職場づくりの専門家で、大学での仕事の傍ら、企業や公的機関など向けの講演やコンサルティング活動を展開している。「『職場の無礼』を研究することに人生を捧(ささ)げることを決めた」と語る著者が、実用的なハンドブックとして書いたのが本書だ。

冒頭第1部のテーマは、無礼さにはどのようなコストが伴うのか、礼節はどれほどの利益をもたらすのか。「アメリカ心理学会(APA)の試算によれば、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは5000億ドル」など、無礼さの費用をこれでもかと具体的なデータを列挙しながら語っていく。一方、礼節の効用についても同様にデータを示していく。データのみならず事例も豊富に示される。読んでいて感じるのは、無礼な態度で職場が悪化する状況は洋の東西を問わず、どこでも日常的に起こっているということだ。

礼節の3つの基本動作示す

第2部からはメソッド編になる。まず最初にテストがあり、日ごろの行動から自分の礼節度合いをチェックするのがスタートだ。そこから自分の欠点や改善点を知り、同僚などからのフィードバックをもらいながら自ら改善していく方法が示される。続いて礼節ある態度をとる3つの基本動作「ほほえむ」「相手の存在を認める」「相手の話を聞く」について語り、礼節の障害となる無意識の偏見を取り除く方法や、盲点になりやすいメールの作法にも言及する。

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