「週末寝だめ」は逆効果 月曜朝を楽にする4つの極意

日経ナショナル ジオグラフィック社

2019/10/29
ナショナルジオグラフィック日本版

写真はイメージ=PIXTA

月曜の朝がつらい、いわゆる「ブルーマンデー」の原因については前回説明したが(「睡眠科学で判明 月曜日の朝、仕事に行きたくない理由」)、今回はその対策法について紹介することにしたい。ブルーマンデーの程度は人によってまちまちだが夜型傾向の強い人では症状が強い。その症状悪化のメカニズムについては前回も簡単に触れたが、対策法を理解するのに必須の知識なので、もう少し詳しく解説する。

夜型の人は平日の就寝時間が遅いため睡眠不足をため込みやすい。週末になると羽を伸ばして平日よりもさらに夜更かしをする。考えてみれば不思議なことだ。夜型では睡眠不足のために日中は眠気が強いのだから、帰宅したら早寝をしてもよさそうなものだが、夜半になるとむしろ目がさえて眠気が霧散してしまうことが多い。体温低下やメラトニン分泌など入眠を促す生体シグナルのタイミングが遅れるためと言われているが、実は正確なメカニズムは分かっていない。

いずれにせよ、平日の睡眠負債と夜更かしのプレッシャーで休日の朝は大いに寝坊をする。結果的に平日と休日の間で睡眠時間帯の大幅なずれが生じる。このような週単位で生じる睡眠時間のずれを社会的ジェットラグ(時差ボケ)と呼ぶことも前回紹介した。典型的な社会的ジェットラグの例を挙げると、「平日は0時に寝て6時に起きる、休日は2時に寝て10時に起きる」ような人である。「あ、私と同じだ!」と思ったあなた、しっかりと時差ボケを起こしています。

社会的ジェットラグは数値化できる。平日と休日のそれぞれの睡眠時間の中央時刻の差を計算する。先の例で言えば「平日は0時に寝て6時に起きる → 睡眠中央値は3時」、「休日は2時に寝て10時に起きる → 睡眠中央値6時」、したがって社会的ジェットラグは3時間となる。これは毎週末に日本とバングラデシュかインド東部を往復しているのと同じ睡眠パターンとなる。欧州やニューヨークと往復するほどではないが、毎週繰り返すとなれば結構キツイ。

眠気や倦怠感、食欲不振など心身の不調に

ご存じのように、ジェットラグはジェット飛行で時差のある地域に移動したときに、飛行先の現地時刻(昼夜サイクル)と、いまだ日本時間の体内時計の位相(体内時刻)との間にずれが生じて、眠気や倦怠(けんたい)感、食欲不振などさまざまな心身の不調を呈する現象をさす。社会的ジェットラグという概念が提唱されたのは、同じような現象が時差飛行をしなくても(国内にとどまっていても)生じるためだった。夜型ブルーマンデーはその一例にすぎない。後半で紹介するが、社会的ジェットラグは寝起きだけでなく、現代人の心身に大きな負担となってのしかかっている。

本稿ではこれ以降は夜型ブルーマンデーを社会的ジェットラグと呼び替える。週末の夜更かしと寝だめがさらなる社会的ジェットラグを引き起こす悪循環の起点となっているのだが、そもそもの原因は朝と夜の光の浴び方にある。そのメカニズムは次の通りだ。

まず社会的ジェットラグに陥ると、週末は寝だめ(寝坊)によって午前中に太陽光を浴びられない。一般的に普段の起床時刻の1時間前から6時間後にかけて浴びる光は体内時計の時刻を進めてくれる(朝型にする)。より正確には、瞳孔から入った光刺激が網膜にある「内因性光感受性網膜神経節細胞(Intrinsically photosensitive retinal ganglion cells; ipRGCs)」を介して、体内時計である視交叉上核(しこうさじょうかく)に働きかけ概日リズム(生体リズム)の位相を前進させるため早寝早起きがしやすくなる。

もともと体内時計の周期が長く概日リズムが遅れがちな夜型の人では、この午前中の光刺激が睡眠リズムを朝型に保つ大事なツールとして働いている。平日であれば出勤や登校のためにいや応なく浴びていた午前中の太陽光だが、週末は寝だめのために浴びることができず、2日間で概日リズムが一気に遅れる原因となる。

以上を踏まえたうえで、主な4つの対策を紹介しよう。

対策(1) 午前の光を浴びる

睡眠不足を寝だめで解消するのではなく、休日もいったん起床して太陽光を浴びよう。ポイントは、「光を目にまっすぐ入れる」こと。直射日光は避けつつ、少しまぶしいなと感じるくらいの方向を見るのがコツである。

室内でも窓にまっすぐ顔を向け、やや空の方(斜め上)を見れば十分に明るい光(数千ルクス)が目に入ってくる。体内時計には青色光(ブルーライト)が強く働くため、青空が見えれば、すなわちブルーライトを効果的に浴びていることになる。窓から離れると窓の外はキラキラしていても(輝度)、体内時計に必要な明るさ(照度)は一気に低下するので、あくまでも窓辺で光を浴びることが大事。

一歩戸外に出れば数万~十数万ルクスという高照度光になる。ただし、外出しても帽子を目深にかぶったり、下(道路)の方を見たりしていると、さほど明るい光が目に入らない。明るい光を見ると縮瞳(瞳孔が小さくなる)し網膜に到達する光量は少なくなるため、意識的に明るい方向に目を向けるようにしよう。

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