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大虐殺がきっかけに ルワンダは今や女性活躍先進国

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

下院の約6割が女性、7人の最高裁判事のうち4人が女性という国がある。アフリカのルワンダだ。女性たちは、悲劇が生んだ必要性から思いがけないチャンスを手にした。ナショナル ジオグラフィック2019年11月号では、ルワンダで女性が活躍するようになった背景と、今後の課題に焦点を当てている。

◇  ◇  ◇

1994年、ルワンダ大統領だったジュベナール・ハビャリマナとブルンジ大統領だったシプリアン・ンタリャミラを乗せた飛行機が撃墜され、二人は死亡した。このことが、約100日間続いた大虐殺の引き金となった。

ハビャリマナ大統領はルワンダの人口の約85%を占める民族フツの出身だった。フツの過激派は、飛行機を撃墜したのは少数派民族ツチだと非難し、以前から緊張状態にあった両民族の間で壮絶な殺し合いに発展した。この大虐殺で、100万人近いツチと、数千人のフツが命を落としたとされている。性暴力の被害者となった女性は少なくとも25万人、孤児となった子どもは9万5000人を超すといわれる。やがて紛争が終わると、生き残った約600万人の大半が女性だった。

人権問題を扱う弁護士のアリス・ウルサロ・カレケジも、その凄惨な日々を記憶している。当時は、ルワンダがこの先どう進んでいくのか、将来が見通せない状況だったという。彼女は性暴力を戦争犯罪として裁けるよう尽力し、1997年に初めての有罪判決を勝ち取った。また1999年には、「紛争管理センター」を共同設立した。

「死者の大半が男性、逃亡者の大半が男性、囚人の大半が男性という状況でした。誰が国を動かせばよいのでしょう?」とカレケジは話す。

紛争の後、人口の8割を占めていた女性たちは、必要性と現実に迫られ、国の指導部に生まれた空席を埋めていくことになる。そして、女性のためのNGOの支援を受け、世界で最も女性に配慮した政策が策定されていった。

1999年には、相続に関する長年の因習を覆した。遺言がなくても女性の相続が認められるようになり、かつては兄や弟に相続権を独占されていた地方の女性たちも、地主になれるようになった。また、女性も土地を担保に融資を受けられるようになった。教育面でも待遇が改善され、大学に進学する女子が増加。従来は男性の領域となっていた分野にも女性が参入できるよう、奨励策が設けられた。

こうしてルワンダは、2003年以来ずっと、世界で最も女性国会議員の比率が高い国となっている(現在は下院の約6割が女性)。また、7人の最高裁判事のうち、副裁判長を含む4人が女性だ。

ところで、ルワンダには、植民地化される前の時代に、女性が意思決定において果たしていた伝統的な役割を考慮した面があった。かつて、国王の相談役はその母親であり、農村では男性たちが放牧で留守にする間、村の人々をまとめていたのは女性たちだったのだ。

ルワンダの女性に対する価値観や期待感は、この1世代で様変わりした。政府の要職に就く女性の増加は、法律や政策の整備だけでなく、一般女性の意識にも影響を与えてきた。

東部カヨンザ地区の緑豊かな高地で、コーヒー栽培の協同組合の組合長を務める39歳のアグネス・ニナウムンツも、そんな女性の一人だ。コーヒー栽培をはじめ、大虐殺前のルワンダでは女性がやってはいけないことが山のようにあったという。だが活躍する女性議員を見て、「自信と誇りをもてるようになりました。頑張ればもっと上を目指せるのだと。だから、それぞれの地元で指導者となる女性が出てきたのです」と、ニナウムンツは話す。

ジェンダーに配慮したルワンダの法律や政策、社会的地位の高い女性の多さは称賛に値する。だがそうしたデータの陰には、もっと根深くて厄介な事実が潜んでいる。法律で変えられる範囲には限界があることだ。

家庭内の男性と女性の関係には、政府の方針ほど大きな変化は起こっていない。女性が家の外で大きな権限をもっていたとしても、家庭内ではまだ立場が弱いという。国会議員の妻をもつ夫でさえ、妻が自分の靴を磨き、シャツにアイロンをかけ、風呂の用意をするのが当然と考えているという。

ジェンダー・家族促進省の大臣であるソリナ・ニラハビマナは、男女の固定観念を壊し、自分の可能性を信じるよう、25年にわたって女性たちに語りかけてきた。その一方で「男性は置き去りにされてきた」と言う。同省では、従来以上に野心的な計画も進めている。子どもたちに男女平等の原則を教えることにより、幼少期に差別的な考えが植えつけられるのを防ごうという試みだ。

南部カモニ地区の学校では、男女に関する固定観念とどう闘うか、10代の生徒たちに教えている。放課後のクラブで、生徒たちが学んだ内容を芝居にして演じていた。ある芝居では、男の子が姉妹の勉強よりも自分の勉強を優先する母親に向かって、自分も家事を手伝うと申し出て、姉妹にだけ家事を押しつけるのはおかしいと話した。

ルワンダの改革が始まるきっかけとなった大虐殺のような悲劇が、二度と繰り返されないことを願う。政府は女性の社会進出を助けるために法律の整備を進め、現在は家庭内における女性の地位向上に取り組んでいる。だが、トップダウン型の強力なアプローチをしなくても、変革は可能なのだろうか?

ルワンダと女性たちがここまで来たことに誇りに感じる国会議員のルバグミヤは、この国がこれから目指すべき未来を見据えている。「枠組みはできています。政策も、法律も、それを執行する仕組みもあります。長い道のりでしたが、素晴らしい成果を上げてきました。でも、もっと先に進まなければなりません。男女間の不均衡が完全になくなる、その日まで」

(文 RANIA ABOUZEID、写真 YAGAZIE EMEZI、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2019年11月号の記事を再構成]

[参考]要約して紹介した「新しいルワンダをつくる女性たち」は、女性たちの今をリポートするナショナル ジオグラフィック日本版2019年11月号「まるごと一冊『女性たちの世紀』」の特集の1つです。この号では、社会の先頭にたつ女性を取り上げた「女性たちの肖像」をはじめ、「安全に暮らす権利」「理系の女子たち」「戦場に立つ女性たち」など、様々な視点から女性と社会をとらえています。ふんだんに盛り込まれた、最新統計に基づいた各国の女性の社会進出度を視覚的に表したグラフィックも注目です。

ナショナル ジオグラフィック日本版 2019年11月号 [雑誌]

著者 : 日経ナショナル ジオグラフィック
出版 : 日経ナショナル ジオグラフィック社
価格 : 円 (税込み)

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