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ダイヤの中にまたダイヤの奇跡 まるでマトリョーシカ

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ナショナルジオグラフィック日本版

極東ロシアのサハ共和国。掘り出されたばかりの宝石を選別中、採掘企業アルロサの専門家たちは、それまで見たことのないものに出くわした。ダイヤモンドの中に、小さなダイヤモンドが閉じ込められていたのだ。ロシアの入れ子人形にちなんで、マトリョーシカ・ダイヤモンドと呼ばれている。

アルロサは2019年10月4日、この発見について公表した。それによると、全体の重さはわずか0.124グラムで、外側のダイヤの幅は米粒の長さとほぼ同じ5ミリ弱だという。

ダイヤモンドはしばしば、珍しい鉱物やその元になった流動体の痕跡を封じ込めるタイムカプセルのような役割を果たす。しかし、ちっぽけなダイヤが、さらに別のダイヤの中に自然に収まってカタカタ動いているという発見は、研究者たちをあっと言わせた。

「こんなものは、それまでまったく見たことがありませんでした」。カナダ、アルバータ大学の鉱物学者トマス・スタヘル氏は、ダイヤの中で別のダイヤが音を立てている動画を見たときのリアクションをこう話した。「ダイヤモンドを研究して長くなりますが初めての遭遇です」

ダイヤモンドはどこから来るのか

ダイヤモンドは、地下数150キロほどの深さで結晶化することが多いとされる。

人間による探査が遠く及ばないところだ。これまでに掘削できた深さは、最大で12キロほどにすぎない。そのため、ダイヤモンドができる不思議な条件を研究するのに、科学者たちはダイヤモンド自体の分析に頼っている。ダイヤが地表に運ばれるのは、「キンバーライトマグマ」という深部の溶岩が上昇する、特殊な火山噴火のときだ。

新発見のダイヤも、こうしたマグマの上昇によって、人が発掘できる場所までやってきた可能性が高い。だが、問題はどうやってできたかだ。

一般にダイヤモンドの結晶化は、海洋プレートの沈み込みに関係しているとされる。密度の高い海洋プレートが、密度の低い大陸プレートの下に潜り込む現象だ。海洋プレートが沈み込むにつれて温度が上がり、岩石や堆積物から液体が押し出される。その塩分と炭素の豊富な液体から、ダイヤモンドがゆっくりと結晶化する。

しかし今回見つかったダイヤモンドは、結晶化の際に何か通常とは違うことが起きたようだ。単一の鉱物の塊として形成されず、小さなダイヤが一回り大きなダイヤの中に包まれた。小さなダイヤを収めた、今は空洞になっている空間は、地中深くの高圧下では存在しえなかったはずだ。したがって、初めは何か別の物が、そのすき間を埋めていたと考えられる。

「マントルにすき間を作ることはできません。絶対に不可能です」とスタヘル氏は言う。「もしすき間があっても、高圧下では1000分の1秒で消えます」

空洞を埋めていたはずの何か

おそらく当初、二重のダイヤモンドは、材料になった液体を少量閉じ込めていたのではないかとオーストラリア、マッコーリー大学の博士研究員で実験岩石学が専門のミハエル・フェルスター氏は話す。この液体は、外側のダイヤモンドの穴か亀裂から漏れ出たのかもしれない。他の専門家は、マントル由来の鉱物、例えば緑褐色のかんらん石や暗赤色のガーネットなどが、このすき間を満たしていた可能性を挙げている。

「中と外のダイヤモンドの間に、どんな鉱物が詰まっていたのか、想像すると興味深いです」とフェルスター氏はEメールで語っている。

こうした鉱物がいつどのように消えたかは不明だが、ダイヤモンドが地表に上ってくる途中でにじみ出た可能性があると、米国宝石学会の王五一氏は話す。すき間を埋めていた鉱物が、溶岩または非常に高温の流体と接触したことで、液体に変えられたのかもしれない。

あるいは、変化が起こったのは地表ではないかとスタヘル氏は考えている。すき間にあった鉱物に水が働きかけて、より弱く、軟らかい鉱物に変え、次いでその一部を溶かしたという可能性だ。

しかし、どちらのプロセスでも、空洞全体がすっかりきれいになるとは考えにくい。おそらく人為的な処理が入っているだろう、とスタヘル氏は強調する。今回の二重ダイヤモンドが採掘後にどう洗浄されたかは不明だが、処理方法は数多くあり、フッ化水素酸などの強い腐食剤による洗浄もその1つだ。

「この物質は、私たちが知っている鉱物ならほとんど何でも溶かしてしまいます」とスタヘル氏は説明する。フッ化水素酸によって溶けない数少ない鉱物の1つがダイヤモンドだ。ダイヤモンドとその処理について、さらなる情報をアルロサ社に求めたが、回答は保留されている。

変わり者のダイヤから何がわかるか

新発見の「ダイヤの中のダイヤ」に一部似ているようなダイヤモンドは、以前にも見つかっている。例えば王氏も、そのようなダイヤを長年所有しているが、中の石は、大きい方のダイヤ内部の壁にしっかりとくっついた状態だ。また、まばゆい表面に穴が開いているダイヤも多いとスタヘル氏は付け加える。

こうした変わり種の鉱物を研究することで、研究者たちはダイヤモンドの成長過程をさらに解明できる。また、こうした石が地球の地下深くで遭遇する環境や化学作用についても発見があるかもしれない。

米国宝石学会が行う分析で指揮をとる予定の王氏が特に関心を抱いているのは、高解像度CTスキャンでダイヤモンドを調べ、構造を3次元で視覚化することだ。内部の空洞の形を調べるほか、中に詰まっていたはずの鉱物が抜けていったルートとして考えられるものを探したいとしている。加えて、ダイヤの化学組成の非破壊検査も計画中だ。これにより、中の空間にかつて残っていたであろう物質の手がかりが得られる可能性がある。

それでも、本当に謎を解くには、さらに多くの発見例が必要だろうとスタヘル氏は話す。「究極の目標は、内部の空間がまだ詰まったままのダイヤモンドを見つけることです。そうすれば、誰もが納得できるでしょう」

(文 MAYA WEI-HAAS、訳 高野夏美、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2019年10月16日付]

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