目のアンチエイジング 50歳から必要な生活習慣5つ

緑内障、加齢黄斑変性、ドライアイ、白内障、糖尿病網膜症の各研究論文をもとに有病率を比較した。年齢が進行するにつれ、特に60歳以上になると目の病気の有病率が急激に上昇する。 (出典:日本眼科学会雑誌;121:232-248.2017)

加齢で注意すべき目の病気、その引き金は?

「50代から有病率が高まる目の病気のなかでも、白内障、糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性、ドライアイは加齢や生活習慣と関連が深い」(坪田教授)。それぞれの症状と発生原因を見ていこう。

<白内障>紫外線などによる酸化ストレス、喫煙、メタボがリスクを高める

目に入った光を通す水晶体が加齢によってにごることで、視界がかすむ、ぼやける、ものが二重に見えるなどの視力低下がおきる病気。80代ではほぼ全例で水晶体に混濁が見られる。紫外線、喫煙、2型糖尿病、高血圧などが発症や進行を早めるリスク要因とされる。

「初期の白内障には点眼治療が行われるが、現状では快癒は難しい。一方、眼内レンズを挿入する手術では、視力だけでなく、認知機能や精神機能が改善する、歩行速度が速くなる、睡眠の質が向上するなどの報告がある。白内障手術はQOLを高めるアンチエイジング治療でもあるといえる」(坪田教授)

<糖尿病性網膜症>糖尿病が原因で、自覚症状なく進行

失明原因第3位。光や色を感じる神経細胞や血管が巡る網膜に、糖尿病による血管の障害から出血や網膜剥離が起こる病気。自覚症状が出にくく、進行すると重篤な視力障害を招く。「発症した後はレーザー照射によって進行を防ぐが、そうなる前に血糖値のコントロールをして糖尿病そのものを予防したり、進行を抑えたりすることが重要」(坪田教授)

<加齢黄斑変性>喫煙、高脂肪食がリスクを高める

失明原因の第4位。カメラのフィルムの役目をする網膜の中心部に障害が起こり、ものがゆがんで見えたり、視野が欠けたりする病気。欧米では成人の失明原因第1位。わが国でも増加傾向で、治療が難しい。「喫煙者は発症リスクが高く、禁煙の徹底が重要。ビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどの抗酸化物質、亜鉛を含むサプリメントが予防に有効とするデータがある。高脂肪食がリスクを高める一方、青魚などに豊富なn-3系脂肪酸がリスクを低減するという報告もある」(坪田教授)

<ドライアイ>長時間のIT作業やエアコン、運動不足、メタボもリスクに

涙が不安定になり、目が乾く、目がゴロゴロするなどの不快感、視機能低下、角膜障害を伴うこともある病気。国内の約10万人を対象にした疫学調査では、身体活動、座りっぱなしの日常習慣、パソコンの長時間使用とドライアイの有病率の関係が明らかになった。(注3)

※注3:Ocul Surf. 2019 Sep 26. pii: S1542-0124(19)30226-5

「身体活動が多い人ほどドライアイにかかりにくい一方、長時間座る生活、長時間のパソコン作業などがドライアイの有病率を上げる。また、メタボリックシンドロームの人は涙の分泌量が低いことも確認した(注4)」(坪田教授)

※注4:Br J Ophthalmol. 2014 Mar;98(3):418-20.

「食事」「運動」「ごきげん」で目を守る

このように、加齢とともにリスクが高まる目の病気にはそれぞれ、リスク要因が存在し、しかも生活習慣に関わる場合が多い。だから、発症する前に生活を見直すことで、予防できる可能性も高まる。

坪田教授はIT機器に囲まれ、室内でエアコンに当たるといった、このところ急速に広がった生活習慣の中で急増するドライアイの改善に「どのようなライフスタイルが有効か」を調べた。その結果、「食事と運動、そして、ごきげんであること(幸福感の維持)が効果的だった」(坪田教授)という。

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