江戸時代へタイムトラベル 旅情を誘う宿場町10選

■6位 海野宿(長野県東御市)280ポイント
水路にゆれる柳 風情感じる

海野(うんの)宿は中山道と北陸道を結ぶ北国街道の宿場町。「北陸の諸大名の参勤交代や善光寺(長野市)に参詣する客で栄え、今も当時の旅を追体験できる」(小塩さん)。「うだつが上がらない」の語源の「うだつ」は富裕な家の象徴として隣家との境に独立した小屋根を載せた独特の装飾で、海野宿に多い。

「街道の真ん中には水路が流れ、柳の緑とともに風情を感じる」(有金さん)。地域住民のガイドもある。「住民の生活が現代までそのまま続いていることが実感できる」(山野井さん)

(1)しなの鉄道田中駅から徒歩約20分(2)http://tomikan.jp/

■7位 追分宿(長野県軽井沢町)210ポイント
市街から離れ 大人の散策

中山道から新潟に向かう北国街道の分岐点に位置する。その道しるべである分去(わかさ)れの句碑が今もあり、旅人でにぎわった往時の面影をとどめている。観光客が多い軽井沢の市街から離れ、「のどかで落ち着いた散策ができる」(沼田さん)。「宿場町の特徴である桝形の茶屋が残り風情がある」(井上さん)

近くには旧油屋旅館を活用した古本や古美術品を扱う店が入る文化施設があり、「コーヒーを飲みながらゆったりとアートに触れるなど大人の時間を過ごせる」(千葉さん)

(1)しなの鉄道信濃追分駅から徒歩約20分(2)https://www.town.karuizawa.lg.jp/www/contents/1001000000744/index.html

■8位 肥前浜宿(佐賀県鹿島市)190ポイント
酒蔵見学、スイーツも

肥前浜宿は長崎街道から分かれた多良海道の宿場町。酒やしょうゆなどの醸造業を中心に栄えた。酒蔵通りの白壁が美しい。「酒蔵見学はもちろん、酒蔵スイーツも楽しめ、酒好きなら一度は訪れたい」(水津さん)。酒の飲み比べをすれば「昔ながらの酒蔵通りをほろ酔い気分で散策できる」(沼田さん)。

すぐ近くには白壁と対照的な漁師町のかやぶき屋根の家屋が保存され、異なる2種類の歴史的家並みが楽しめる。「パワースポットとして知られる祐徳稲荷神社も近いので合わせて観光したい」(千葉さん)

(1)JR肥前浜駅から徒歩約6分(2)https://saga-kashima-kankou.com/spot/1114

■9位 塩沢宿(新潟県南魚沼市)180ポイント
雪よけ屋根 豪雪地ならでは

中山道の高崎から新潟に向かう三国街道の宿場町として栄えた。地元出身の江戸期の文人、鈴木牧之(ぼくし)にちなんで「牧之通り」とも呼ばれる。日本有数の豪雪地にあり「雪よけの屋根、雁木(がんぎ)が連なる町並みがノスタルジックな雰囲気を醸し出している」(横倉さん)。

越後上布や塩沢紬などの織物や魚沼産コシヒカリの中でも特においしいとされる「塩沢米」でも知られる。「背景の雪山の景色は息をのむ美しさ。塩沢駅までの車窓から眺める四季折々の田園風景もおすすめ」(山野井さん)

(1)JR塩沢駅から徒歩約5分(2)https://niigata-kankou.or.jp/spot/13730

■10位 熊川宿(福井県若狭町)170ポイント
多彩な家並みにぬくもり

若狭湾で取れたサバなどの魚を京都に運んだ若狭街道は「鯖(さば)街道」とも呼ばれ、若狭の領主・浅野長政が同街道に整備した宿場。「交通と軍事の拠点でもあり、浅野長政が生きた江戸初期に思いをはせるのも面白い」(小塩さん)。奉行所や番所、蔵屋敷の跡が残り、街道沿いには昔ながらの用水路が流れる。

「様々な意匠の建物が広い道に1.1キロ以上続き、多彩な家並みに親しみとぬくもりを感じる」(中尾さん)。熊川宿を含む鯖街道は日本遺産に認定されている。

(1)JR上中駅からバスで約10分(2)http://wakasa-www.mitene.or.jp/kankou/sitesheeing/kumagawa/

                                      

歴史ひもとき楽しみ2倍

江戸時代に江戸と京都を結ぶ道は東海道と中山道の2本だったが、交通量は東海道が中山道の4倍だったという。ところが、ランキング上位の6つが中山道沿いか中山道から延びる道の宿場町だ。なぜ観光地として中山道周辺が多いのか。

キーワードは過疎だ。都市化した東海道とは対照的に、山深い中山道は過疎が進んだ結果、古い家並みがそのまま残った。妻籠を愛する会の藤原義則理事長は「観光地化しない町並みを守ることが観光資源につながる」と強調する。町の歴史を少しひもといてから訪ねると、ちょっと違った景色に見えるかもしれない。



■ランキングの見方 数字は選者の評価を点数化。宿場町の名前(所在地)。(1)最寄り駅(2)情報サイト。写真は1、3、4位三浦秀行、9位大久保潤撮影。2、5~8、10位は各地の観光協会や役所の提供。

■調査の方法 全国の宿場町の中から専門家の協力で主な26カ所をリスト化。「江戸情緒を感じられる風情」と「観光地としての魅力」にアクセスの良さも加味し、10人の専門家にそれぞれ1~10位までの順位付けを依頼。編集部で集計した。(大久保潤)

注)6位海野宿と7位追分宿へ行くしなの鉄道では10月26日時点で、田中駅と上田駅間が不通になっています。

■今週の専門家 ▽有金淳(いこーよ感動体験プレゼンター)▽井上幸一(全国古民家再生協会顧問)▽小塩稲之(日本観光文化協会会長)▽水津陽子(地域活性化コンサルタント)▽立川弘樹(阪急交通社メディア営業1部国内営業2課)▽千葉千枝子(淑徳大学教授)▽中尾隆之(町並み紀行家)▽沼田阿友美(KNT-CTホールディングス国内旅行部)▽山野井友紀(日本政策投資銀行地域企画部副調査役)▽横倉和子(日本旅行総研研究員)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2019年10月26日付]

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