ムダ遣いしがちなスマホ決済 予算・期間決めチャージ

NIKKEIプラス1

写真はイメージ=PIXTA
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消費増税に伴いキャッシュレス決済へのポイント還元制度が始まった。これにあわせスマートフォン決済を始めた人も多いだろう。還元がありお得だからといって、使いすぎてしまっては元も子もない。スマホ決済のお金の管理方法をまとめた。

消費税率引き上げからもうすぐ1カ月。コンビニエンスストアなどの店頭で支払時にキャッシュレス決済を選ぶ客が増えてきたという。東京都在住の会社員Aさん(53)もスマホ決済「楽天ペイ」を使い始めた。「アプリを入れてクレジットカード情報を登録したら使えるようになった。意外に簡単だった」と話す。

キャッシュレス決済できる店が増えているが…(東京都内で)

ただ、2週間ほどしてムダ遣いが増えたのではと心配になった。楽天ペイはポイント還元制度の対象店舗かどうかにかかわらず、楽天ペイが利用できる店であれば還元を受けられるキャンペーンを12月2日まで実施している。「使える店を探しては、つい使ってしまった」と振り返る。

キャッシュレス決済になるとお金を使いがちになるというのは、米国の経済学者の実験でも示されている。

実験では大学生のグループを、(1)事前に現金をチャージしたカードを保有する(2)購入後に支払いの請求がある(3)購入の都度お金を払う――の3つに分けた。各グループの行動を調べたところ、支出が最も多かったのが(1)で、次が(2)、最後が(3)のグループだったという。

スマホ決済では「LINEペイ」や「ペイペイ」などが(1)に近く、銀行口座などとつないでチャージする仕組みを採用している。使いすぎを防ぐにはチャージの段階で金額を管理するのがいいだろう。

具体的には1週間分または1カ月分と期間を区切って予算を決め、その分だけチャージする。残高が減ってくると追加でチャージしてしまいがちだが、予算で決めた以上は使わないよう自制心を働かせたい。

「ゆうちょペイ」では事前チャージは必要なく、デビットカードのようにゆうちょ銀行口座から即時引き落としとなる。1日あたりと1カ月あたりの利用上限額を設定する機能があるので、使いすぎ防止に役立てられる。そもそも利用できるのが残高の範囲内のため、残高を制限することでも使いすぎを防げる。

楽天ペイも事前チャージした「楽天キャッシュ」を支払いに使うことができるが、メインの決済方法はクレジットカードによる後払いだ。クレカの場合は利用明細書を見直し、必要な出費だったか冷静に考えたい。ポイント還元制度が終了した後もキャッシュレス決済を中心に使う場合には、複数のカードを登録できる家計簿アプリなどを活用して、3カ月~半年ごとには支出の推移を確認しよう。

ファイナンシャルプランナーの豊田真弓氏は、クレカとつなげている場合に「支払い方法がリボルビング払いになっていないかを確認する」よう助言する。特に若年層向けに発行されているクレカには、利用額に応じて付与されるポイントが通常より多くなっている一方、設定がリボ払いとなっているものがある。

リボ払いは利用金額にかかわらずあらかじめ設定した一定の金額を月々支払う方式で、残高に対して手数料(金利)がかかる。金利はカード会社によって異なるが、年15%程度が一般的だ。

リボ払いの金額を5000円に設定している人が10万円の買い物をする場合を見てみよう。支払総額は各カードで異なってくるが、例えばジェーシービー(JCB)のシミュレーションを使うと約11万2900円との計算になる。還元制度でポイントが5%付くとしても5000円分にとどまり、リボ払いによる利息(約1万2900円)の方が上回ってしまう。

買い物金額によっては、ポイント還元分がリボ払いの利息を上回ることもあり、リボ払いが不利と言い切ることはできない。しかし、リボ払い設定では利用額が増えるほど手数料負担はかさみやすい。利用の際にはどちらがお得かをしっかり確認しておきたい。

(川鍋直彦)

[NIKKEIプラス1 2019年10月26日付]

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