最初にポテサラはNG 食後高血糖抑える飲み方の鉄則お酒と血糖値(下)

日経Gooday

先生、居酒屋メニューでいえば、具体的にはどんなおつまみがいいのですか?

写真はイメージ=(c)ahirao-123RF

「枝豆、唐揚げ、冷ややっこ、焼鳥(塩)、そして刺身、カルパッチョなどもお勧めです。どうです? 居酒屋の定番メニューでも選べるものはいっぱいありますよね。こうした糖質の少ないおつまみなら、お腹いっぱい食べてもいいんです」(山田さん)

「たんぱく質と良質の油は満腹になるまで食べて大丈夫です。この2つを中心にした食生活をしている人は満腹感によってエネルギー摂取をコントロールできます。怖がらずとも、満腹になってもいいのです」(山田さん)

「お腹いっぱい食べてもいい」――。血糖値を気にする人は、常に「腹八分目にしなさい」と言われているので、この一言は暗闇にさす一筋の光のように見えるのではないだろうか? 山田さんによると、「たんぱく質や油を中心とした食生活をしている人は、満腹感を与える消化管ホルモン『ペプチドYY』がよく分泌され、さらにその状態が長く保たれる」そうだ。一方、「糖質中心の食生活をする人はペプチドYYが分泌されにくいため、特に肥満の人は食後2時間もすると空腹を感じる傾向にある」という。

確かに、肉や魚、そして大豆食品をはじめとするたんぱく質や油は腹持ちも良く、しっかり食べておくと間食を必要としなくなる。油もOKというのは、食べることが好きな左党にはありがたい。ただし、「古い油(酸化した油)、それにトランス脂肪酸(植物油を加工する際に生じる油の一種で、過剰摂取は健康に悪影響があることが指摘されている)は避けてください」と山田さんは話す。

そして、控えるべき糖質を多く含むメニューについては、「焼きそば、焼きおにぎり、パスタ、ピザなど、糖質が多いおつまみを食べたい場合はラストにしましょう。先にたんぱく質や油を十分にとっていると、血糖値上昇が若干でも抑えられます。そして、先にたんぱく質と油でお腹を満たしておけば、炭水化物メニューの量を食べ過ぎることもありませんよ」(山田さん)

居酒屋では、最初からポテトサラダ(すぐ出ることが多い)を頼む人もいるが、これはNG。「『ポテトサラダは野菜だから』などと言う人もいますが、血糖値の面からは避ける(もしくは量を控える)べきです。ポテトサラダのじゃがいもは、1個(100g)で糖質が17gにもなります。同様にコーンサラダもNGです。芋類やとうもろこしは主食と同じと考えてください」と山田さん。

なお、野菜に多く含まれる食物繊維には、糖の吸収を穏やかにする効果があるため積極的にとりたい。野菜の多くは糖質量が少ないが、ゆり根、かぼちゃ、レンコンは糖質量が多いので注意が必要。また、たまねぎ、にんじん、パプリカなども比較的多い。これらのとり過ぎには注意しよう。

知らず知らずのうちに糖質過多になっているおつまみを見直し、たんぱく質と良質な油中心のおつまみに変えることで、さまざまな病気を引き起こす食後高血糖を改善できる。また、昼食の内容などを見直せば、仕事の生産性を上げることも期待できそうだ。

ビジネスパーソンとして仕事のパフォーマンスを上げるため、そしてまた恐ろしい病気を誘引する食後高血糖を改善するためにも、今一度、飲んでいる酒の種類と食事の内容を一考しておきたい。

先生のアドバイス通りに食事を変えてみた結果は……

前回も紹介したが、以前の私の食後血糖値は軽く180mg/dL超え。「糖尿病と診断されてないもーん♪」(空腹時血糖値は基準値内)ということもあり、糖質への意識が甘かったが、この結果を踏まえ「これはまずい…」と食事改善に着手した。

山田さんのアドバイスを基に1食当たりの糖質を40gに抑える食生活を1カ月したところ、何と食後血糖値が97mg/dLという好成績を得ることができた。

具体的にどうしたかというと、糖質量を簡単に測れるスマホのアプリ( 「糖質カウンター」というアプリ)を活用して、1日の食事を管理するようにしたのである。このアプリを使って食事を管理すると、前述したように、レンコンやにんじんといった意外なものにも糖質が多いことが分かり、摂取量を抑えるようになる。こうして、日常の食事に気を付けることにより、食後高血糖がだいぶ改善されてきた。

正直、大好きなチョコレートはやめられないのだが、山田さんも「間食(スイーツ)もしっかり楽しんでください(ただし糖質10g以内)」と話していたので、量を抑えつつ安心して食べている。

普段に飲む酒は、日本酒メインから糖質ゼロの本格焼酎(水割りかハイボール)に切り替え、外飲みの際には、日本酒やワインなどの醸造酒を楽しむようにメリハリをつけたところ、ストレスもたまらず、リバウンドもしていない。もう少しがんばって、体重もあと3キロ減らしたいところである。

ちなみに、糖質を食べても、食後に運動さえすれば血糖値は上がらない、などと言う人もいるが、それはどうなのだろう? せっかくの機会なので山田さんに聞いてみた。

すると、「食後に、運動することは、もちろん悪いことではありませんので、ぜひ実践してください。ただし、血糖値については、運動より食事の影響の方が圧倒的に大きいのです。ですから、食後に慌てて運動するより、食事で糖質をコントロールしたほうが効果的といえます」(山田さん)というお返事をいただいた。やはり食事面での取り組みが最優先なのだ。

◇  ◇  ◇

ここまでの山田さんの話をまとめると、アルコールが血糖値を上がりにくくしてくれることは確実ではあるものの、適量はあくまで純アルコール換算で20g。選ぶ酒は、糖質量が少ない酒が望ましい。糖質量が多い酒を飲む際は、おつまみで調整して、1食当たりの糖質量はトータル(酒込みで)40g以内に収める。おつまみは、糖質量を考慮し、たんぱく質&良質な油を主体としたものを選ぶのが理想ということだ。糖質を多く含むメニューは食事の最後(カーボラスト)にする。

改めて見直すと、これといって難しいことはなく、意識さえすればすぐにでも実践できることばかりである。これで血糖値がコントロールでき、将来の糖尿病のリスクが減る。さらには食後の眠気を抑え、集中力も維持できるならお安いもんではないだろうか。

左党はおいしいおつまみを食べながら、酒を飲むことを何よりの幸せと感じる人が多く、そのため気づかぬうちに糖質過多になっていることがある。この機会に今現在の自分の食後血糖値を把握し、糖質の摂取を上手にコントロールしながら、長―く、健康的に飲み続けたいものである。

(酒ジャーナリスト 葉石かおり、図版 増田真一)

山田悟さん
北里大学北里研究所病院糖尿病センター長、食・楽・健康協会代表理事。1970年東京都生まれ。日本糖尿病学会糖尿病専門医。日々、多くの患者と向き合いながら、食べる喜びが損なわれる糖尿病治療においていかに生活の質を上げていけるかを研究。糖質制限食に出合い、積極的に糖尿病治療に取り入れる。2013年に、一般社団法人「食・楽・健康協会」を立ち上げる。著書『糖質制限の真実』(幻冬舎)ほか多数。

[日経Gooday2019年10月8日付記事を再構成]

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