AIと私は付き合える? ビリギャルが第一人者に聞く人工知能(AI) (前編)

――たしかにある程度は知識が必要かもしれないけれど、将来的には脳とかウエアラブル端末とかにチップみたいな装置を埋め込んで、グーグルで検索できちゃうっていう話さえありますよね。

「そうなんですよね。頭の中でグーグル検索をできるようになったら、試験も変わります。スマホ持ち込み禁止とか、まるで意味をなさない。それよりも、使えるものはすべて駆使したうえで、その人が何を考え何を調べたのか。そこまでみて評価を出すようなことになるかもしれない」

――でも、チップを埋め込んで検索できるようになったら、みんなが同じ答えを出すようになっちゃいませんか。

「それが問題なんですよね。現実的に話すと、頭にチップを埋め込むのは脳卒中で脳の一部がまひして記憶を失ったり言語能力が低下したりしたときの治療で始まると思います。ただ、医療行為の範囲を超えると天才を乱立させることになります。そんなことをしたら社会が狂います」

――とんでもない頭がよくて悪いヤツがAIを悪用したらと思うとぞっとする。

「そういう事態を100パーセント止める方法はないと思います。その意味でも、できるだけ多くの善意の人たちがAIの最先端の技術を防御的にもっていて、悪意のあるAIの使われ方を阻止するしかありません」

――AIは行き過ぎると怖いっていう論調が目立つ中で、この間出会った高校生はこう言ったんです。「僕はロボットが誰でもできる仕事を代わりにやってくれる時代が来るんだから、超ラッキーだと思ってます」って。人間にしかできない、ワクワクすること、楽しいことばかりができるじゃないかって。AIに仕事を奪われるという人も多けれど、高校生がこう言ってくれて、なんだかすごくたくましくて未来は明るい、とうれしくなりました。

「AI登場のちょっとぞっとする話ばかりしてきましたが、実は僕もこの高校生に賛成です。人間は年齢を重ねてしまうと、今までに築き上げたものへのプライドもあってAIが取って代わると言われても受け入れられないわけです。でも、若い人や考えが若々しい人は違う。将棋の羽生善治さんはもうすぐ50歳ですが、その典型です」

「将棋の世界では一足先にAIが人間の棋士を負かすようになっています。羽生さんは天才だからか、気持ちが若くて、AIを前向きに捉えようとしている。また、将棋の藤井聡太さんはAIを活用して将棋の鍛錬をしています。私はこういう世代をAIネーティブと呼んでいます。人間は2万年前の壁画にも『最近の若者はけしからん』と描いているらしい。逆に言うと、それでも人間は世代交代してうまくやってきたわけだから、AIに関しても人間は世代交代とともに、うまい付き合い方をしたたかに身につけるんじゃないかなと僕は思っています」

松原仁さん
1959年東京生まれ。1981年東大理学部情報科学科卒業。1986年同大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了。工学博士。通産省工技院電子技術総合研究所(現産業 技術総合研究所)を経て2000年公立はこだて未来大学教授。2016年公立はこだて未来大学副理事長。専門は人工知能、ゲーム情報学、観光情報学。 著書に「鉄腕アトムは実現できるか」(河出書房新社)、「AIに心は宿るのか」(集英社インターナショナル)など。 元人工知能学会会長、元情報処理学会理事、観光情報学会理事。未来の公共交通をITで創造することを目指す、未来シェア(函館市)の社長も務める。
小林さやかさん
1988年生まれ。「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」(坪田信貴著、KADOKAWA)の主人公であるビリギャル本人。中学時代は素行不良で何度も停学になり学校の校長に「人間のクズ」と呼ばれ、高2の夏には小学4年レベルの学力だった。塾講師・坪田信貴氏と出会って1年半で偏差値を40上げ、慶応義塾大学に現役で合格。現在は講演、学生や親向けのイベントやセミナーの企画運営などで活動中。2019年3月に初の著書「キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語」(マガジンハウス)を出版。4月からは聖心女子大学大学院で教育学を研究している。

12月16日開催(学生向け)「ビリギャルと英語の勉強法を学ぼう」

学生時代も社会人になってからも変わらず大切な英語。効果的な勉強法を、ビリギャルこと小林さやかさんが登壇するイベントで一緒に学びませんか。

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