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AIと私は付き合える? ビリギャルが第一人者に聞く

人工知能(AI) (前編)

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NIKKEI STYLE

 ギャルの女子高生が慶応大に合格するまでを描いた「ビリギャル」のモデルとなった小林さやかさんが、様々な分野の専門家に率直な疑問をぶつけます。今回は人工知能(AI)編。大学院生になったビリギャルが、あなたに代わって勉強してきます。

私、全国各地の教育の現場で講演をさせてもらうことが多いんだけど、AIの影響で教育がどう変わるのか、興味がある。暗記ばかりの勉強は、通用しなくなるはずだし、そもそもAIで私たちの生活がどう変わるのか基本的なところから知りたい。鉄腕アトムを作りたいと願い30年以上AIを研究してきた公立はこだて未来大学の松原仁教授を訪ねてきたよ。

(前回)ビリギャルも投資できる? レオス藤野氏に教わった

――松原先生、そもそもAIっていま、どこまで私たちの日常に浸透しているものなんですか。日本より海外のほうがもっと進んでいますよね。

「ちょっとイヤな感じの話から始めますね。例えば米国では、どこの町で何曜日の何時に犯罪が起きているのかを統計として集めて分析し、次の強盗事件の発生予測をしています。かなりの確率であたるらしい。だから警察官もAIの指示に基づいてパトロール先を決めたりするそうです。また、中国は監視カメラだらけです。犯罪者はすぐ捕まるだけでなく、人々の行動をカメラが捕捉してAIが勝手にプラスとかマイナスとか、点数化するらしいんですよね」

――なんかそれ怖い……。常に監視されてるってことですよね。人の行動をAIが判定して点数化するのは、誰のため、何のためにしているものなの? 政府が自分たちのための何らかの目的のためにしているの? それとも国民の安全のため?

「それが微妙ですよね。中国の場合は国にとってどうかということでしょう。でも、国の政策に反対してデモ行進するのは、政府から見たらマイナスだけど、社会にとってはプラスになる行動かもしれない。僕が言いたいのは、AIの使い方次第で国が思うように国民を同じ方向に向かせることもできるかもしれないし、反対に社会をよくするために使えるかもしれないということなのです」

――じゃあ国ではなくて企業が主導するのはどうですか? そのほうが何か怖いことに使われそうになったら歯止めも効きそうだし。

「でも企業にも問題はあるんです。民間企業が主導すると、自分のところの利益に合う行動をする人の点数を高くしますから。日本でもこういう問題はすでに起きていますよ。皆さんはスマートフォンで乗り換えソフトを使って交通手段を調べるでしょ? おいしいモノが食べたいときは、ランキングのサイトを使いますよね。でも、それは本当に最善の答えを出してくれているのか。もしかしたら、情報が操作されていて、情報を提供している企業にとって都合のよいように表示されているかもしれないわけです。AIとの付き合い方という意味では、ごく身近なところでこういう問題が起きているんです」

――何が本当のことなのか、何を信用すべきなのか、わからなくなってしまいますね。最近は私も口コミとか見ると「本当かな……。これ企業が自分で書いてないかな……」みたいに疑っちゃうもん。

「情報リテラシーが本当に大切になってきますよね。どの情報源がいちばん信用できるかをちゃんと見きわめられる力は、極端にいうとAI時代に最も重要な能力になるかもしれません」

――私はコミュニケーション力は割と高いほうだと自分では思っていて、人を見る目もそれなりにあると思っているんだけど、今の高校生くらいの子を見ているとすごく心配です。

SNSの中の限られた言葉の範囲でコミュニケーションは取れちゃうし、合コンもしないし、スマホがあればいくらでも暇つぶしができちゃうし。明らかに人と話す時間が減っている。あのままで人を見る目や大切なことを判断する力って養えるんだろうか、って。

「僕は今あるベンチャー企業の顧問をしてるのですけれど、なんと、おつきあいの仕方を教える会社なの」

――男女の?もうそこからニーズがあるんだなあ……。

「そう。ただ男女をマッチングさせるだけのサイトはたくさんあるけれど、この企業はマッチングしたあとの男女のやりとりをAIが見ていて、デートに誘うタイミングとか、メールの文面とかをAIが教えてくれるんです」

――AIが教えてくれるんだ!(笑)。そうすると、そのうちAIに恋するみたいなことも起きるかも。米国の映画「her/世界でひとつの彼女」(2013年)もそういう話でしたよね。

「ありえますね。AIの応対が自然になってくると、好きになっちゃうというのはあり得る。中国にはAIとおしゃべりする対話チャットがあるんです。相手はAIだから、それまでの対話の内容はすべて覚えていてくれるし、誕生日は忘れないし、落ち込んでいると優しい言葉をかけてくれる」

――それは……、人間の男性より優れている可能性がありますね(笑)。

「もっと過激な話だと、セックスロボットもあるんです。米国ではもう開発されています。人間を相手にするより良いと思う人が増えたら少子化が進んでしまいますが、ロボットを介して受精させられれば少子化にもならないですよね。じゃあ、誰が育てるのかという問題もでてくるけれど、お手伝いのロボットがたすけてくれるかもしれない。性の話は日本では話題になりづらいのですが、人間の根源的な欲求ですから、産業としては非常に大きいのです」

――AIはたぶんこれからよりいっそう、私たちの社会、日常に当たり前にあるものになっていきますよね。その社会を生きる子どもたちのために、教育現場は考え方を一新させて子どもたちを育てるようにしていかないと、かなりまずいんじゃないかと思うんです。

「教育はAIの登場で変わりますね。漢字、英単語、九九など、従来の勉強の多くの時間は覚えることに費やされてきたけれど、記憶と取り出しという作業はAIの方が断然得意でしょ。でも、だからといって全く覚えなくていいわけでもない。頭の中に知識がないと考えられないですから。難しいのは、考える力を養う上で知識がどれくらいあればいいのか、まだ誰も正確にわからないということなんです」

――たしかにある程度は知識が必要かもしれないけれど、将来的には脳とかウエアラブル端末とかにチップみたいな装置を埋め込んで、グーグルで検索できちゃうっていう話さえありますよね。

「そうなんですよね。頭の中でグーグル検索をできるようになったら、試験も変わります。スマホ持ち込み禁止とか、まるで意味をなさない。それよりも、使えるものはすべて駆使したうえで、その人が何を考え何を調べたのか。そこまでみて評価を出すようなことになるかもしれない」

――でも、チップを埋め込んで検索できるようになったら、みんなが同じ答えを出すようになっちゃいませんか。

「それが問題なんですよね。現実的に話すと、頭にチップを埋め込むのは脳卒中で脳の一部がまひして記憶を失ったり言語能力が低下したりしたときの治療で始まると思います。ただ、医療行為の範囲を超えると天才を乱立させることになります。そんなことをしたら社会が狂います」

――とんでもない頭がよくて悪いヤツがAIを悪用したらと思うとぞっとする。

「そういう事態を100パーセント止める方法はないと思います。その意味でも、できるだけ多くの善意の人たちがAIの最先端の技術を防御的にもっていて、悪意のあるAIの使われ方を阻止するしかありません」

――AIは行き過ぎると怖いっていう論調が目立つ中で、この間出会った高校生はこう言ったんです。「僕はロボットが誰でもできる仕事を代わりにやってくれる時代が来るんだから、超ラッキーだと思ってます」って。人間にしかできない、ワクワクすること、楽しいことばかりができるじゃないかって。AIに仕事を奪われるという人も多けれど、高校生がこう言ってくれて、なんだかすごくたくましくて未来は明るい、とうれしくなりました。

「AI登場のちょっとぞっとする話ばかりしてきましたが、実は僕もこの高校生に賛成です。人間は年齢を重ねてしまうと、今までに築き上げたものへのプライドもあってAIが取って代わると言われても受け入れられないわけです。でも、若い人や考えが若々しい人は違う。将棋の羽生善治さんはもうすぐ50歳ですが、その典型です」

「将棋の世界では一足先にAIが人間の棋士を負かすようになっています。羽生さんは天才だからか、気持ちが若くて、AIを前向きに捉えようとしている。また、将棋の藤井聡太さんはAIを活用して将棋の鍛錬をしています。私はこういう世代をAIネーティブと呼んでいます。人間は2万年前の壁画にも『最近の若者はけしからん』と描いているらしい。逆に言うと、それでも人間は世代交代してうまくやってきたわけだから、AIに関しても人間は世代交代とともに、うまい付き合い方をしたたかに身につけるんじゃないかなと僕は思っています」

松原仁さん
1959年東京生まれ。1981年東大理学部情報科学科卒業。1986年同大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了。工学博士。通産省工技院電子技術総合研究所(現産業 技術総合研究所)を経て2000年公立はこだて未来大学教授。2016年公立はこだて未来大学副理事長。専門は人工知能、ゲーム情報学、観光情報学。 著書に「鉄腕アトムは実現できるか」(河出書房新社)、「AIに心は宿るのか」(集英社インターナショナル)など。 元人工知能学会会長、元情報処理学会理事、観光情報学会理事。未来の公共交通をITで創造することを目指す、未来シェア(函館市)の社長も務める。
小林さやかさん
1988年生まれ。「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話」(坪田信貴著、KADOKAWA)の主人公であるビリギャル本人。中学時代は素行不良で何度も停学になり学校の校長に「人間のクズ」と呼ばれ、高2の夏には小学4年レベルの学力だった。塾講師・坪田信貴氏と出会って1年半で偏差値を40上げ、慶応義塾大学に現役で合格。現在は講演、学生や親向けのイベントやセミナーの企画運営などで活動中。2019年3月に初の著書「キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語」(マガジンハウス)を出版。4月からは聖心女子大学大学院で教育学を研究している。

12月16日開催(学生向け)「ビリギャルと英語の勉強法を学ぼう」

学生時代も社会人になってからも変わらず大切な英語。効果的な勉強法を、ビリギャルこと小林さやかさんが登壇するイベントで一緒に学びませんか。

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